if... 2013 〜広島V2記念作品〜 6

14 ao side ページ14

淳矢とAが歩く時は、暑苦しいくらい指を絡めて歩く。


でも今日は違う。


それに気付くと、いつもどちらから手を握っているのかすぐに分かった。


A｢青ちゃんっ｣


淳矢を置いて駆け寄ってくるAを抱き上げる。


A｢なっ……｣


青山｢彼女でしょ？｣


付き合ってた頃はここまでベタベタしてなかった。


でも、もしまたAと付き合えるならこうしたかった。


千葉｢ももももう、ら、……くっ……ラブラブなんだからぁ｣


……千葉ちゃんはそんなに無理して協力しなくてもいいのに。


Aに釘刺されたのかな。


淳矢｢あれ、もしかして……｣


青山｢ごめん、手出した。ラブラブ｣


A｢ラッ！？｣


淳矢｢……そっか！よかったね、A｣


A｢らっ、う、うん｣


動揺しすぎ。


淳矢｢そっかぁ……｣


淳矢は寂しそうな、安心したような、複雑な表情でAを見つめる。


床におろしてAの髪を撫でた。


外の冷たい風を含んだ髪に指を通すと、気持ちよかった。


もっと、まだまだ触れたい。


A｢淳矢、ウイイレしよーっ｣


淳矢｢いーよ、しよしよ！｣


ゲームの準備をする2人を見ていると、千葉ちゃんがそばにやってきた。


千葉｢俺、頑張ったよな？｣


青山｢うん(笑)｣


千葉｢でも淳矢からしたらトシは裏切り者だぞ？｣


青山｢いーよ｣


嫌われても軽蔑されてもいい。


Aの、作戦と言う名の泥舟に乗るのには、もう慣れた。


森脇｢千葉ー！洋次郎ー！｣


広報部長の森脇さんの声が玄関から聞こえると、千葉ちゃんは急に表情を変える。


階段を降りてくる洋次郎は外出する雰囲気だ。


洋次郎｢準備できてます！……あれ？千葉ちゃんは？｣


森脇｢千葉ー！？｣


A｢こっちいますよー！｣


Aが玄関に向かうと、渋々千葉ちゃんも後を追った。


森脇｢ローカル生番組とスカパーのこたつ座談会の収録！｣


A｢そうだったの！？頑張ってね！｣


千葉｢うん……｣


洋次郎｢あれ？淳矢！｣


淳矢｢きちゃった！｣


洋次郎｢言えよー！おかえり！｣


Aの頭を引き寄せて千葉ちゃんを見た。


青山｢ごゆっくり｣


千葉ちゃんの反応がいちいち面白い。


普段千葉ちゃんは、俺の何倍もAに触れられるのに。

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