if... -third- 〜広島優勝記念作品〜

36 ryota side ページ36

A「見て、りょーた。今日サポーターさんすごいね」


控え室からスタジタムを見つめるAは、目を輝かせている。


良太「頑張らんとね」


千葉「洋次郎は絶対決めろよ？俺の分も御利益シャンプーしてもらったんだし」


洋次郎「何だよ、俺の分って(笑)」


和幸「A、俺もおまじないして」


A「え、ここで？」


和さんも何かAに願掛けしてるんだ。


寿人さんのスパイク結びやらチュンくんへの予言やら、今までAも大変だったんだな。


和幸「早く」


A「久しぶりだし恥ずかしいよー……」


和幸「絶対ゴール決めてくるけん」


A「でも……」


森保「よし！みんな集合！」


A「あ、ほら和くん、早く早く！」


和幸「あーぁ。昔はしてくれたのに」


結局和さんの願掛けは叶えられないまま、試合が始まった。


当然、首位仙台のモチベーションも高く、両者サポーターの煽りも心強い。


前半を互角、0-0で終える。


森保「後半勝負しかけていこう！」


森保監督はざっと指示をくれた後は、選手同士の確認や雑談に時間をとってくれる。


この時間が意外と重要で、Aを視界に入れとくだけでも心が引き締まる。


良太「洋次郎、シャンプー効いてないじゃん」


A「まだこれからだもん！」


和幸「A！」


和さんに見つかったAは、少し困ったように笑った。


A「もー……」


腰を屈めてAを引き寄せる和さん。


……え？まさか……


Aの唇が和さんの右頬に触れる。


和幸「よし、点とってくる！」


千葉「えぇぇえぇぇえ！？」


……そんなことさせとるの知らんかったし。


千葉「そんなんあり！？」


A「和くんの右頬と浩司くんの左頬だけは昔からありなの」


照れながらAが説明する。


青山「あと俺の唇ね」


A「そう、青ちゃんの……いや、違う！」


A、青ちゃんとまたふざけ合えるようになったんだ。


複雑だけど、ちょっと安心した。


森保「よし！行くぞ！」


笑顔のAを見届けて、ピッチに入る。

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