おしゃぶり ページ35
「・・・？」
彼女の目の前まで来て、私はその子の
様子がおかしい事に気がつく。
彼女は確かに呼吸をし、目を開けて窓の外を見ている。
しかしその目は光輝く事無く、正気を失っている
かのように曇っていた。
「・・・こんにちは。」
ユ「・・・。」
私は彼女に話しかけてみた。
しかし反応は無く、こちらを振り返る事も無い。
まるで心が抜けてしまっているかのようだ・・・。
「・・・・私・・・A・・・。よろしく。」
ユ「・・・。」
返事が無いと分かっていながらも私は彼女に
自己紹介をしておく。
白蘭が言っていた反応してくれないとは
こう言う事なのだろう。
言葉も話さなければ返事もしない。
こちらを見る事も無い。
この子はまるで人形のようだった。
「・・・。」
私はぼーっと椅子に座る彼女を見下ろす。
見れば彼女は首からおしゃぶりを下げていた。
これはアルコバレーノのおしゃぶりだ。
やはり彼女もアルコバレーノの１人らしい・・・。
部屋は静寂に包まれている。
この子はどうしてこんな所にいるのだろうか
私は彼女を見つめながら考える。
「・・・・・。」
ユ「・・・。」
彼女を眺めていたら私は急におしゃぶりが気になった。
彼女の首から下げているおしゃぶりはオレンジ色。
確かオレンジ色は大空のおしゃぶり。
ボスの炎と同じ綺麗なオレンジ色・・・・
私は引き込まれるかのようにゆっくりと
そのおしゃぶりに右手を伸ばす・・・。
キィィィィイイインン！！！
「っ！？」
その時だった。
私の指がおしゃぶりに触れた瞬間おしゃぶりが
強い光を放った。
私は突然の出来事に驚き、目をつぶる。
「・・・？」
次に私が目を開けるとそこは先程までいた
部屋では無かった。
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作者名：猫のこたつ | 作成日時：2019年8月2日 9時
