今日:6 hit、昨日:3 hit、合計:53,866 hit
小｜中｜大
喪失感 ページ12
頬に触れるとAは少し
俺の手に頬を擦り付ける。
Aは温かかった。
あの日、クソザメが血に濡れたAを抱えて
戻って来た時。
Aの体は既に冷たくなっていた。
今までに見た事の無いような表情で
Aを抱えるサメ。
もう二度と動く事の無いAを見下ろしながら
俺は心の中が冷たく冷えていくのを感じて居た。
あれは喪失感。
ザ「・・・てめぇはいつも飼い主の俺を振り回しやがる・・・。」
「・・・。」
俺は今までの事を思い出す。
十年前のAは知らないだろうが、Aは
いつも俺を困らせ、世話を焼かせる。
この俺様をここまで振り回すのは
Aくらいだろう・・・。
ザ「・・・この時代のAは俺の許可なく勝手に死にやがった・・・。」
「・・・。」
ザ「・・・次、勝手に死んだら・・・許さねぇ・・・・。」
「・・・うん・・・。」
俺はAにそう言うとAを抱き寄せる。
俺の膝の上に乗るAは軽い。
こんな体で今までどうやって生活していたのかと
疑問に思う程にAの体は細く、軽かった。
敵はこんなAを簡単に殺す事ができるだろう。
あの日のように。
俺はAを膝の上に乗せたままコップに残った
酒を煽った。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 49人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：猫のこたつ | 作成日時：2019年8月2日 9時
