オレンジ ページ42
スクアーロ side
日が傾き始め、路地裏を夕日がオレンジに染める。
そんな路地裏に、赤色が一つ。
それは点々と続き、ある場所で地面を濡らしていた。
ス「くっそがぁ・・・・・。」
俺は路地の隅で壁に背を預けながら腹を押さえる。
押さえる手の隙間からは血が少しづつ流れていた。
昨日、俺は銃弾を二発受けた。
一つ目は腹。
もう一つ目は足だ。
俺はあの後なんとか敵を巻く事ができた。
しかし、
足に弾を受けたために本部まで戻れなかったのだ。
任務が完了した時に連絡は入れてある。
だから、きっと今頃帰らない俺の事を探しているだろう。
そんなに深刻な状況ではない。
俺は今の自分の状況を落ち着いて考える。
ス「・・・・。」
手で傷口を押さえてはいるが、血は着々と流れている。
俺は立っていられなくなり、ずるずると地面に
座り込んだ。
これくらいで死ぬ気は無いが、俺がヘマをしたのは
随分久しぶりだ。
しかも、こんな簡単な任務でこんな事になるとは
思っても居なかった・・・。
ス「・・・。」
目を閉じると綺麗なオレンジ色は消え、
暗闇が広がる。
そこで思い浮かべるのはAの事だ。
こんな時でもAの事を思い浮かべる程に
俺はAを愛してる・・・。
いや・・・
こんな時だからこそなのかもしれない・・・。
ス「・・・・。」
目を開ければそこは眩しいくらいにオレンジ色だ。
段々と沈んでいく夕日は儚さを感じさせる。
Aは今、何をしているのだろうか・・・。
帰らない俺を・・・
心配していたりするのだろうか。
そんな事を考える。
今のAは感情を殺し、愛される事を拒んでいる。
そんなAに、俺のこの気持ちは伝わらない。
ス「・・・。」
それでも。
俺のこの感情は、今押さえている腹から滲み出る血と
同じように、胸の奥から溢れ出て止まらない。
溢れて
溢れて
いっぱいになって・・・。
俺はこの感情に溺れているようで・・・
苦しい。
ス「っ・・・。」
こんな事初めてで。
体に受ける傷なんかよりも痛くて辛かった。
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作者名：猫のこたつ | 作成日時：2019年7月30日 10時
