ボスの考え ページ34
マーモン side
長い廊下の先を見れば、僕を置いて１人歩いて行く
ボスの後ろ姿が目に入る。
マ「ボス！！待ってよ！」
僕はそう言ってボスの後を追う。
今のAにあんな事を言ったら逆効果なのに、
一体、ボスは何を考えているんだ！
僕は先程の事を思い出しながら心の中で叫ぶ。
ボスの考えている事が分からず僕は戸惑っていた。
今のAは自分の考えを殺し、
感情を殺し、
心を殺して、
ボスの道具として生きて行こうとしている。
そんなAに元々の人間性を取り戻して欲しくて、
僕達はここ最近、Aに色んな事をしていた。
Aの仕事量を減らして、カウンセリングの
時間に回したり。
生活の中の小さい事でもAに選択肢を与えて、
Aの自立性を刺激したり。
そんな努力が少しづつ効果を表し出したのだろう。
先程、Aは自らの意志でスクアーロを探しに
行きたいと考えていたのに・・・。
ボスはそれを許さなかった。
ボスはAのそんな意思を自分の命令で押さえ込ませ
Aに待機を命じたのだ。
今のAは・・・
ボスの命令に背くことは無いだろう。
マ「・・・・・。」
なぜボスはAにあんな命令を出したのか。
僕には分からない。
この僕にだって、ボスの考えを読み取るのは
難しいのだ。
ボスはいつも、僕達の考えのさらに上の事を考えている。
いや・・・・
気分屋のボスの事だから何も考えていないのかも
しれないけれど・・・・。
マ「・・・・。」
スクアーロが帰って来ない事も珍しいので
心配なのだが。
僕は部屋に残してきてしまったAの事も
心配だった。
Aはボスの命令を聞いて、何を思っただろうか。
マ「・・・。」
僕は感情を失ったAの顔を思い出す。
無表情。
その言葉通り、今のAの顔は何の感情も
表してはくれない。
Aは今頃・・・
先程と変わらず、本を読んで過ごしているのだろうか。
マ「・・・・・。」
僕は増えてしまった心配事に頭を悩ませながら
小さく溜め息を吐き出した。
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作者名：猫のこたつ | 作成日時：2019年7月30日 10時
