夜空を見上げる鮫と月 part８ (ページ30)

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自動拳銃ページ30

依頼されていない人間を殺すのは
後処理が面倒なので、何とか撒こう
と逃げていたが・・・

ここは敵の仕切る領地内。

裏路地までも知り尽くしている相手から
逃げるのは至難の業だ。

ス「・・・。」

気が付けば、俺の近辺は囲まれているようだった。

耳を澄ませば敵の足音や指示を出す声などが聞こえる。

　ス「・・・あっちが手薄か・・？」

声や、音。

気配を感じ取りながら慎重に足を進める。

すると、人の気配を感じない方向があった。

その方面にはまだ敵がたどり着いていないのか
足音や声は聞こえない。

俺はそちらの方へ気配を消しながら向かう。

丁度そっちの方面は人の多い通りに繋がる道だ。

このまま大通りに出る事が出来れば、完全に敵を
巻く事ができるだろう。

　ス「・・・大丈夫そうだな・・・。」

俺は路地裏から少しだけ顔を出す。

見れば敵はおらず、そのまま通りに出られそうだ。

しかし、すぐ近くまで敵が来ているのだろう。

走る足音が聞こえてくる。

その足音は俺が今まで通って来た所から聞こえていた。

このままここに居ればすぐに見つかってしまう。

敵も居ない事なので俺は曲がり角から飛び出し、
一気に通りまで駆け抜けようと走り出した。

　ピーーーーーーーーーーーーッ！！

　ス「っ！？」

その時だった。

後少しで通りに出ると言うところで、路地に
機械音が鳴り響く。

俺はそんな音を聞いて思わず立ち止まった。

　ズガンッ！！

　ス「ぐぅっ！！？」

そして、立ち止まった瞬間。

辺りに銃声が鳴り響いた。

銃声と同時に俺の右腹から血が飛び散る。

俺は衝撃で前に吹っ飛んだ。

よく見れば、路地の壁にはレーザーセンサー付きの
自動拳銃が取り付けられていた。

　男「おい！銃声だ！」

　男「センサーだ！あの通りにヤツが居る！すぐ向かえ！」

少し遠くで、そんな敵の声が聞こえる。

ここに敵の姿が無かったのは・・・

この自動拳銃があったからだ。

この罠があるから、ここは守備が手薄だったのだろう。

　ス「クソっ！！」

敵の策略を甘く見ていた。

俺は血が止まらない腹を押さえながら体を起し、
通りに向かって走り出す。

しかし・・・

　ピーーーーーーーーーーーーーーーッ！！

　ス「っ！？」

　ズガンッ！！！

太陽が明るく照らす裏路地に。

二発目の銃声が鳴り響いた。