夜空を見上げる鮫と月 part８ (ページ28)

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疲労と心労ページ28

　ス「ザンザスの命令ではあるが、Aはベットで寝るようになったぜ・・・・。」

　マ「・・・。」

そう説明するスクアーロの表情は暗く、どこか
苦しそうだ。

僕はそんなスクアーロの表情の変化を確認しながら、
黙って話を聞く。

実を言うと、ラウンジで毎日行われるこの報告会は
スクアーロのカウンセリングも兼ねていた。

本人は知らないだろうけど、僕がスクアーロから
話を聞く事で、スクアーロの精神状況も把握できる
ようにしていたのだ。

ボスがAに与える愛情は・・・

少し変わっている。

自分に使えているAへの施しと言うのか、

自分の言う事を素直に聞き、

自分の為に人生を捧げ、

女でありながら、危なく、汚い仕事をこなす。

そんなAをボスは気に入っているのだ。

しかし。

スクアーロの場合、もっと恋愛に近い。

スクアーロはAの事が純粋に好きだ。

それ故に、

今回の事はスクアーロにとって過酷なものだった。

　ス「Aはボスが・・・ザンザスが居れば落ち着いてるぜ。」

　マ「・・・・。」

確かに、Aはボスの近くに居る時は精神が
安定していた。

今のAはボスの依存によって存在している。

ボスがAを捨てれば、Aは死を選んでも
おかしくないような状態なのだ。

そんな中で、スクアーロの持つ愛と言う感情は
Aにとって未知の感情。

恐怖を抱き、拒絶をしている。

Aに悪気はないので仕方のない事なのだが、
これがスクアーロの精神にダメージを与えていた。

　ス「・・・仕事も溜まってるしそろそろ戻るか。明日もAの事頼んだぜ・・・。」

スクアーロはそう言うと席からゆっくりと立ち上がる。

　マ「分ってるよ、スクアーロ。」

僕はそう言いながらスクアーロを見送る。

Aには仕事の少ない時期だと言っているが
実は、そんな事は無い。

僕たちの仕事は時期とか関係ないし。

Aに負担が掛からないようにと、スクアーロが
仕事を多く受け持っているだけなのだ。

マ「・・・。」

僕は少しふら付きながら出て行ったスクアーロの
後ろ姿を思い出す。

疲労と心労で・・・・

スクアーロが倒れなければいいのだが。

僕はそんな心配をしつつ、冷えてしまった紅茶を
飲み干した。