誘い ページ7
女が暗殺部隊に居る事はかなり
珍しいはずだ。
だから皆、疑問に思うのだろう。
デ「何か・・・脅されてるのか？」
「！」
私が返事を返さず黙っているとディーノはそう言って
真剣な表情になった。
ディーノは何か、変な勘違いをしているようだ。
私は脅されてヴァリアーに居るのでは無い。
私は、私を拾ってくれたボスの為に忠誠を誓い
ヴァリアーに居るのだ。
デ「Aがヴァリアーに仕方なく身を置いているのなら・・・キャバッローネに来ねぇか？」
「！？」
するとディーノは真剣な表情から一変、笑顔で私を
見つめると、とんでもない事を言い出した。
私は驚きそんなディーノを見つめる。
デ「ヴァリアーに入隊できるほどの腕を持っているAなら俺は大歓迎だぜ！それにこんなに可愛いんだ、男ばかりの俺のファミリーにも華が出るってな！」
「・・・。」
そんな事を言いながらディーノは私を見つめている。
「・・・・・。」
まさかキャバッローネのボス直々に
勧誘されてしまうとは。
でも・・・・
私はヴァリアーを辞めるつもりは無い。
私の命はボスの物であり、私はボスの道具。
道具が勝手に持ち主の元を離れる事は許されない。
そんな私が・・・・
もし、ヴァリアーから身を引く事があるとしたら・・・
ボスに捨てられた時か、
死んだ時だけだろう。
「・・・・。」
私はそんな事を考えながら彼の誘いを断るために
首を横に振る。
デ「そうか・・・残念だ。」
「・・・。」
するとディーノは残念そうな顔をして肩を落とす。
どうやら、本気で勧誘する気だったらしい。
デ「でもよ、何か困った事とかあったらいつでも相談してくれよな！仲間に相談しにくい事とかもあるだろ？」
「・・・。」
ディーノはそう言って私の頭を撫でる。
優しい表情を浮かべながら私を撫でる温かな手。
そんなディーノを見ていたらある人物を思い出した。
「・・・・。」
ディーノも・・・沢田に似ている。
少しでも関わった人間には惜しみも無く協力し、
心配し、相手の為に動く。
「・・・・。」
ディーノもきっと、沢田と同じ。
優しいボスなのだろう。
私は紅茶の香りを嗅ぎなら、そんな優しいボス。
ディーノの事をしばらくの間、見つめ続けた。
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作者名：猫のこたつ | 作成日時：2019年7月29日 4時
