夜空を見上げる鮫と月 part６ (ページ47)

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気になる女子ページ47

雲「・・・。」

彼はそう言ってソファーの上で慌てている。

そんな姿はなんだか滑稽だった。

気になって、ねぇ・・・。

僕が静かにトンファーを下すと、彼はソファーに
座り直す。

　デ「はぁ・・考えれば戦闘狂の恭弥が気になる女子なんて」

　雲「・・・居るよ。」

ディーノは出されていたお茶を飲みながら話し出した。

僕はそんな彼の言葉を遮る。

　デ「・・・・え・・・・。」

　雲「・・・僕にだって気になる女子くらい居るよ。」

僕がそう言うと、ディーノは動きを止めた。

彼は僕を見て、目を見開いて驚いている。

僕にだって気になる女子くらいは居る。

と言っても恋愛感情があってとか、
そういうものではない。

　デ「ま、マジかよ・・・あの恭弥が・・・どんな子なんだ？」

　雲「・・・・。」

ディーノは我に返ると、僕の方へと体ごと向き直り
そんな質問する。

その姿はまるで、エサを前にして目を輝かせている
犬のようだ。

　雲「・・・・・。」

何か、変な勘違いをしているような気もするが
訂正するのもめんどくさい。

しかも、ディーノは興味を持ったようだ。

　デ「なぁなぁ！どんな子なんだよ？」

　雲「・・・。」

ディーノは体を前のめりにしながら聞いて来る。

・・・・うるさい。

何度も、しつこく話を聞いて来るディーノ。

これは、説明した方が早く大人しくなるかもしれない。

余計な事を言ってしまった事を僕は後悔しながら
あの生徒の話しをする。

　雲「・・・彼女は授業もサボるし、・・・違反のピアスもつけてる・・・それに無断欠席中の重度の校則違反者だね。」

　デ「・・・・は？」

　草「・・・。」

　ロ「・・・。」

ディーノは理解できないと言ったような
顔をして呆然としている。

彼が聞きたいのはこういう事では無いと分かっているが、
僕はあえてそんな説明をした。

しかし、

情報としてはかなり正確だ。

雲「・・・。」

いい天気の屋上。

何も読み取る事の出来ない表情。

風で揺れる長い黒髪。

そんな髪と一緒に揺れるのは耳元で輝く青いピアス。

彼女は今、どこにいるのだろうか。

　雲「・・・・。」

僕の強敵を咬み殺したい本能が疼く。

見つけたら・・・咬み殺す・・・。

僕はそんな事を思いながら、ソファーで間抜けな顔を
している彼にトンファーを投げ飛ばした。