夜空を見上げる鮫と月 part６ (ページ44)

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違う表情ページ44

山本 side

俺達は部屋に戻ると宿題の続きを進める。

机の上にはまだまだ宿題が残っていた。

　ツ「まさか・・・今日もAちゃんに会うなんて思わなかったよ。しかもベルフェゴールまで居たし・・・。」

　獄「本当にヴァリアーも来てるんっすね。」

宿題を片付けているとツナが思い出したように話し出す。

俺は宿題から視線を上げ、ツナを見た。

先程、２人は寿司を食べ終えると帰って行った。

Aは初めて寿司を口にしても無表情だったが・・・

寿司を気に入ったらしく、獄寺やベルフェゴールが
すすめたネタも積極的に食べていた。

　ツ「てかさ・・・獄寺君、Aちゃんと何かあった？」

　獄「・・・・え？」

　山「！」

俺が先程の事を思い出していると、ツナが獄寺を見て
話しかける。

　ツ「なんか・・・獄寺君、急にAちゃんと仲良くなってたみたいだからさ・・・どうしたのかなって。」

　山「・・・。」

ツナは不思議そうな表情で獄寺に質問している。

ツナのするその質問は、俺も気になっていた事だった。

　獄「あぁー。・・・俺がAに会った事がある気がするって話したの覚えてますか？」

　ツ「えっと・・・Aちゃんが転校してきた時・・・？」

Aが転校してきた時に、獄寺はAに会った事が
ある気がすると話していたのを思い出す。

あの時は気のせいだという事になって忘れていたが。

　獄「俺、思い出したんすけど・・・やっぱりAと知り合いだったんすよ。」

　ツ「えぇっ！？そうだったの？！」

　山「！」

獄寺はそう言うと昨日の出来事や昔の話をしだした。

昔のAはよく笑う女の子だったらしい。

　獄「それで昨日、Aも俺の事思い出したみたいで・・・」

　ツ「そ、そうだったんだ・・・。」

　山「・・・。」

俺はその話を黙って聞いていた。

まさか、獄寺がAと幼馴染だったとは・・・

俺はそれを聞いて・・・なぜか心がモヤモヤした。

この感情はなんなのだろうか。

　獄「・・・・・。」

　
　山「・・・。」

俺も、もっとAの事が知りたい。

Aの違う表情が見たい。

Aの笑顔が・・・

見たい。

Aの事を思い出しているであろう獄寺の
柔らかい表情を見て。

　山「・・・・。」

俺はさらにそんな気持ちが強くなっていった。