遊び ページ38
「・・・・。」
口に出したらどうなるのか・・・
ス「勝手に居なくなるのはベルだけで勘弁してくれぇ・・・」
「・・・。」
黙ったままだった私を見て、スクアーロは頭を
押さえながら溜め息をつく。
「・・・・。」
・・・・ごめんなさい。
私は心の中でスクアーロに謝る。
流石に一言話してから行けばよかったと
今更ながらに後悔した。
彼にはいつも迷惑をかけてしまっているし、
仕事で日本に来ているのだ。
他のヴァリアーの皆は旅行気分で浮かれている。
私だけでも、しっかりしなければ・・・。
べ「しししっ♪いいじゃん、せっかく日本にいるんだし？」
「！」
その時だった。
そんな声がしたと思えば、私の肩が重くなる。
見れば、隣に居たのはベルで、ベルは私の肩に
手を回していた。
ス「う゛ぉぉぉぉおおい！！ベル！テメェ、昨日どこにいやがったぁ！」
すると、ベルを見たスクアーロが再び叫ぶ。
べ「しししっ、どこでもよくね？仕事も無いし暇なんだよね。」
ス「だからって勝手に居なくなるんじゃねぇ！！」
「・・・・。」
やはり、旅行気分のベルは勝手に出歩いてスクアーロを
困らせているらしい。
スクアーロは怒っているが・・・
ベルは全く反省していない様子。
べ「関係ないね。だって俺王子だもん♪なぁA、
今日は俺とでかけようぜ。」
「・・・。」
ベルは今日も遊びに行く気らしい。
私の肩に手を回したまま、ベルは私を遊びに誘う。
今、スクアーロの前でそんな事言ったら・・・。
ス「う゛ぉぉぉぉおおい！！させねぇーぞ！！」
「！」
スクアーロはそう言いながらベルに飛び掛かる。
どうやら遊びに行こうとしているベルを
捕まえる気らしい。
べ「ししし♪俺が捕まると思うの？行くよA。」
「！！？」
ベルはそう言うと、私の手を掴み玄関ロビーに向かって
走り出した。
いきなりの事で私は抵抗もできずに半ば強引に
引きずられて行く。
ス「う゛ぉぉぉぉおおい！！待ちやがれぇ！！！」
長い廊下の先でスクアーロが叫んでいる。
べ「A、王子が楽しい所に連れてってやるよ。」
「・・・・。」
そんなスクアーロの叫び声を気にする事無く、
私の手を引く王子様はいつもと変わらず。
しししっと楽し気に笑っていた。
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作者名：猫のこたつ | 作成日時：2019年7月29日 4時
