そんな顔 ページ30
獄寺 side
遠くでセミが鳴いている。
暑い日差しに照らされながら俺はAを
見つめていた。
獄「・・・・。」
「・・・。」
Aの長い髪が風で揺れている。
そんな姿は俺の心を締め付ける。
十代目の家を出て、宿泊しているホテルへと帰る
Aを俺は追いかけた。
俺はAに追いつくと声をかけ呼び止め・・・
今、俺達は公園に居る。
「・・・。」
獄「・・・。」
Aは黙ったまま、俺を見つめている。
その顔は無表情で、なんの感情も表してはくれない。
獄「っ・・・・。」
そんな表情は俺の遠い記憶を呼び起こす。
昔は・・・・
そんな顔しなかったじゃねぇーか・・・。
獄「・・・。」
「・・・。」
いろいろ言いたい事、聞きたい事があったはずなのだが
実際に会ってしまうと何も言い出せない。
獄「・・・。」
今までの反応を見れば、Aは俺の事は
覚えていないのだろう。
あの場所には・・・・
俺みたいなヤツはたくさんいたから・・・
獄「・・・。」
「・・・。」
公園の真ん中で、俺達はお互いを見つめながら佇む。
Aは俺を見つめている。
俺もAを見つめている。
獄「・・・・・。」
何か・・・
話さねぇと・・・。
獄「A・・・。」
「・・・。」
俺は声を絞り出すようにAの名前を呼ぶ。
獄「・・・・元気・・か・・？」
「・・・・。」
何とか言葉にできた単語はそんな言葉だった。
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作者名：猫のこたつ | 作成日時：2019年7月29日 4時
