昔の事 ページ18
Aside
「男が良かったのに。」
「お前は誰からも愛されない。」
「私は素敵でしょう？綺麗でないといけないのよ。」
「お前は売られたんだよ。」
「・・・・。」
遠くから聞こえたその声に私はゆっくりと目を開ける。
そこに広がるのは見慣れた天井。
私はいつもと変わらず、自分のベットで眠っていた。
「・・・・。」
窓から差し込むのは月明り。
暗い部屋の中を優しく照らしている。
時計を見れば、時刻はまだ夜中の１時だった。
「・・・・。」
昔の夢を見た。
最近になって昔の事を思い出すように夢を見る。
思い出される遠い記憶。
その記憶達は色あせる事無く記憶に残っている。
「・・・。」
今ではこの夢を見ても、もう、何も感じなくなった。
考えて、悩んだって
何も・・・・
結果は変わらないから・・・
「・・・。」
私は目が冴えてしまって、体を起す。
見れば、寝ていた私の隣では黒猫が丸まって眠っていた。
「・・・・。」
私はそんな黒猫を起さないようにベットから抜け出す。
薄暗い部屋の中。
月灯りに導かれるように私はバルコニーに出た。
「・・・・。」
白いネグリジェのスカートが夜風で揺れる。
外の空気は冷たくて私の体を冷やしていく。
「・・・・。」
見上げた夜空には大きな月が浮かんでいる。
今日は・・・・満月なのだろうか。
夜空に浮かぶ月は綺麗な円を描いていた。
「・・・。」
私は・・・・今、ここに居る。
ヴァリアーの仲間が、私を必要としてくれている。
ボスが私を拾ってくれたから。
私は少しでも彼らの役に立ちたい。
そうでなければ私の存在価値なんて・・・・
「・・・。」
私は昔の事を思い出しながら
月が浮かぶ綺麗な夜空を眺め続けた。
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作者名：猫のこたつ | 作成日時：2019年7月29日 4時
