夜空を見上げる鮫と月 part６ (ページ17)

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５本の薔薇ページ17

「・・・。」

花や植物には種類によって花言葉と言う物があるとは
知っていたが・・・。

花束の・・・意味？

一体、どういう事だろうか？

　デ「A！今日は本当にありがとうなっ！！このお礼は必ずするぜっ！！」

　「！」

　ス「う゛ぉぉぉぉおおい！！跳ね馬っ！！逃げんじゃねぇ！！」

私が花束を見つめていると、ディーノはそう言って
私に手を振りながら走って行く。

彼が向かう先に目をやると、そこには黒い車が
止っていて、昼間に別れた部下さんがこちらを
見ていた。

ディーノは叫び続けるスクアーロを無視し車に乗ると
そのまま帰って行った。

　ス「・・・あいつ確信犯だぜぇ・・・。」

　「・・・？」

そんなディーノを黙って見送ると、私の隣でぼそりと
スクアーロが呟く。

私だけ意味が分からず置いてけぼりだ。

一体、何の話をしていたのだろうか？

　ス「Aは・・・知らねぇのか？」

　「・・・。」

私が花束を見つめ考えていると、スクアーロが
話しかけて来る。

私はスクアーロを見上げると頷いた。

花言葉の存在は知っていたが、花束にまで
意味があるなんて私は知らない。

ディーノがプレゼントしてくれた赤薔薇の花束。

甘く、芳醇な香りを漂わせている５本の薔薇は
どれも綺麗に咲いている。

　ス「・・・Aは・・・知らなくていい・・・。」

　「・・・。」

スクアーロはそう言って私の頭を優しく撫でる。

私は知らなくていい？

スクアーロがそう言うのなら・・・

私は調べないけれど・・・

　「・・・・。」

一体どんな意味がこの花束に込められているのだろうか？

私はそんな疑問を心の奥にしまい込み、空を見上げる。

太陽が沈み、広がっていた赤色は姿を隠す。

代わりに段々と濃くなっていく青色の空の中で

綺麗な一番星が輝いていた。