歌声 ページ38
雲雀 side
僕の鼓膜を揺らすのはどこからか聞こえる綺麗な歌声。
その歌声は透き通っていて、僕の体に染み渡る。
日本語ではないその歌詞の、意味は僕には分からないけれど。
聴いていてとても心地が良かった。
雲「・・・・。」
僕はゆっくりと目を開ける。
すると視界に入り込んだのはAの姿。
Aは床に寝転ぶ僕の頭を膝の上に乗せて座っていた。
雲「・・・・。」
Aは歌を歌っていた。
Aが歌う歌声は、僕が眠っている間に聞こえていた
美しい歌声と同じ。
僕は静かに歌い続けるAを見上げる。
Aは胸の前で手を組むと目を閉じ、まるで祈りを
捧げているかのように歌う。
しかし、
その表情は眉間に少しシワが寄り不安げで、今にも泣き出して
しまいそうだった。
薄暗い部屋の中で、ひび割れた壁から外の光が差し込む。
僅かに差し込んだ光を浴びて、Aは祈るように
歌っていた。
光を浴びて長い黒髪に光の輪が浮かぶ。
今ならAの背中から羽が生えても僕は驚かないだろう。
「・・・・！」
雲「・・・・。」
歌を歌い終えたAは静かに目を開けると僕を見下ろす。
そして起きていた僕を見て目を見開いて驚いた。
僕は黙ってAを見つめる。
「雲雀・・・さんっ・・・。」
Aは僕を見て驚いていたが、徐々にその表情は崩れ、
目に涙が溜まって行く。
そして小さく僕の名前を呼ぶと雫が僕に向かって降って来た。
その雫は光を浴びて綺麗に輝きながら僕の頬に当たって弾ける。
「雲雀さんっ・・・」
雲「・・・。」
Aは僕を見下ろしながら泣き続ける。
僕は暖かな雨を受けながらそっとAに手を伸ばす。
しかし、途中でその手を止めた。
雲「・・・。」
その時僕が思い出したのは、あの日の中庭。
僕を見つめるAの瞳には恐怖の色が見え隠れしていた。
そして、僕はAに触れるのを止めた。
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サナ - 夢主ちゃん、まさかのモテ期！？いいな、私もモテたいから、頑張るぞー！ (2023年1月15日 17時) (
レス) @page5 id: 1da0142502 (このIDを非表示/違反報告)
猫のこたつ(プロフ) - 茨の谷の第二王子さん» コメントありがとうございます！久しぶりに来たらコメントがあり驚きました。応援とても嬉しいです！本当にありがとうございます！頑張って投稿します。 (2022年4月13日 15時) (レス) id: 3d7342e6df (このIDを非表示/違反報告)
茨の谷の第二王子 - 好き。愛してる。ﾝ"ﾝ"ごめんなさい。あ"ー、好き。（結局同じ事言ってる）頑張ってください！ (2022年4月10日 1時) (レス) @page40 id: d096c6aa19 (このIDを非表示/違反報告)
猫のこたつ(プロフ) - soariさん» コメントありがとうございます！お話の感想が聞けてとても嬉しいです！頑張って投稿続けますので、今後も雲月をよろしくお願いします！ (2021年10月1日 6時) (レス) id: e086e98a44 (このIDを非表示/違反報告)
soari(プロフ) - 初めまして失礼します。笑った時に声出るのがばれるのかと思ったら…笑いをこらえるのに必死な可愛い姿が思い浮かびました。雲雀さんとツナ達の今後が楽しみです！季節の変わり目ですので作者様のペースで更新してもらえたら、いいなと思います。ご自愛ください。 (2021年9月30日 18時) (レス) @page13 id: a5995c2106 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：猫のこたつ | 作成日時：2021年8月15日 13時
