差し出した手を ページ8
雲「・・・僕は・・知ってる。」
「・・・。」
そう、僕は知っている。
彼女は気づかれていないと思っているだろうけど。
僕は彼女の秘密をいくつも知っている。
雲「君が・・・「死にたい」って叫んでた事。」
あの日、雨に濡れながら叫んでいた音の無い
彼女の心の叫び。
雲「君がずっと、「ごめんなさい」って謝ってた事。」
彼女はいつも小さく口を動かしながら謝っていた。
雲「君が笑って嘘ついてる事も・・・知ってる。」
彼女は本当の気持ちを隠す時、笑って過ごした。
微笑みの仮面を顔に張り付けて、嘘をつくのだ。
雲「・・・僕に隠したって無駄だよ。」
そう、僕は彼女の秘密をこんなに知っている。
あの、応接室で過ごすうちに僕は彼女の
そんな秘密を知った。
この秘密はきっと、僕だけが知っている事だ。
雲「だから・・・僕にまで嘘を付かなくたっていいでしょ。」
「っ・・・・。」
だから・・・これ以上。
僕に秘密を作る必要は無いだろう。
自分の気持ちを隠しがちな彼女。
言いたい事も言えずに、
伝えたい事も言えずに、
苦しんで、
苦しんで、
ここまで生きて来た彼女。
「死にたい」と願い、
全ての事に「ごめんなさい」と謝り続けて来た彼女。
そんな彼女の一番近くに居たのは・・・
僕だ。
それは偶然だった。
本当にたまたま僕だっただけなのだけど。
それでも、僕は彼女の本当の心の叫びを聞いたのだ。
彼女の頬で小さな雫が輝いている。
雲「今、君が・・１番言いたい事は・・・・なに。」
僕がそう尋ねると、彼女はその場に崩れ落ちる。
床に座り込んで涙を流しながら、彼女は僕を
見つめている。
僕は黙って彼女の事を見つめ返す。
「っーーーー。」
雲「・・・。」
彼女は僕にそう言った。
やっぱり彼女の口から音が出る事は無かったけれど。
僕にはしっかり聞こえていた。
彼女が本当に言いたかった、あのメモと同じ言葉。
僕は彼女に手を差し伸べる。
彼女は差し出した僕の手を・・・
静かに取った。
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まくすうぇる(プロフ) - 雲雀さんアレ？惚の字のアレ？(･∀･)ﾆﾖﾆﾖ (2020年8月18日 20時) (
レス) id: db32ad90f1 (このIDを非表示/違反報告)
チノちゃん(プロフ) - やべぇ、ひばりんかっけぇ！勇者じゃん！こんな彼氏が欲しかった。 (2020年8月17日 22時) (レス) id: 5e7e485832 (このIDを非表示/違反報告)
猫のこたつ(プロフ) - チノちゃんさん» コメントありがとうございます！そんな風に言っていただけるなんて嬉しいです( *´艸｀)今後ともよろしくお願いします！ (2020年7月13日 17時) (レス) id: d3f62d5375 (このIDを非表示/違反報告)
チノちゃん(プロフ) - うわぁぁぁ！神ですか!? (2020年7月13日 15時) (レス) id: 5e7e485832 (このIDを非表示/違反報告)
りん - 最高です！更新楽しみにしています！ (2020年5月29日 12時) (レス) id: 277ca17f95 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：猫のこたつ | 作成日時：2020年5月11日 14時
