悪夢 ページ5
「っ・・・。」
私は叫びたかった。
「止めて」と。
しかし、
あの日と同じで私の口から音は出ない。
雲「・・・うるさい。今、僕は彼女と話をしているんだ。」
黒「！？」
「！」
雲雀さんはそう言うと男へと視線を向け、
男を睨みつけた。
そして・・・
雲「・・・邪魔するなら・・・先に咬み殺してあげるよ。」
「！！」
雲雀さんは突然、男に向かって駆け出した。
黒「っ！コイツっ！！」
男はそんな雲雀さんに反応し、すぐさま拳銃を構え直す。
その様子はまるでスローモーションのように流れて行く。
「っーーーーーーーーーー」
気が付けば、私は音が出ない声で叫んでいた。
頭の中で思い描かれる悪夢は・・・
赤く染まった学ランと腕章だった。
胸の前で手を握りしめて、私は叫ぶ。
嫌だ・・・
嫌だ・・・嫌だ！！
もう・・・止めてっ・・・・！！！
ズガンッッッ！！！
「っーーー！！」
そして、
一発の銃声が部屋に響く。
私は思わず目をつぶった。
もう、見たくなかった。
私のせいで
誰かが死ぬのを。
「ぐあぁぁああああ！！」
「っ！？」
しかし、
次に私の耳に届いた声は雲雀さんの声・・・
では無く。
あの男の叫びだった。
私は驚きながらも、ゆっくりと目を開ける。
雲「・・・・。」
「・・・・。」
涙で歪む視界。
炎を隔てた向こう側には、先程と変わらない姿の
雲雀さんが立っていた。
そんな雲雀さんの足元をよく見れば、あの男が床に
倒れている。
「・・・・・。」
何が・・・あったの・・・。
私は何も言えずにその場に立ち尽くした。
雲雀さんは倒れた男を見下ろしていたが、
ゆっくりと私に視線を向ける。
雲「・・・。」
「・・・・。」
私は黙って雲雀さんを見つめる。
部屋の中は炎が広がり、凄い熱に包まれている。
少しずつ。
少しずつ・・・
しかし確実に私の居る場所に炎は迫り、
私を壁際へ追い詰める。
あと少しで・・・・
炎はこの部屋全てを私と一緒に焼き尽くすのだろう。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 210人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
まくすうぇる(プロフ) - 雲雀さんアレ？惚の字のアレ？(･∀･)ﾆﾖﾆﾖ (2020年8月18日 20時) (
レス) id: db32ad90f1 (このIDを非表示/違反報告)
チノちゃん(プロフ) - やべぇ、ひばりんかっけぇ！勇者じゃん！こんな彼氏が欲しかった。 (2020年8月17日 22時) (レス) id: 5e7e485832 (このIDを非表示/違反報告)
猫のこたつ(プロフ) - チノちゃんさん» コメントありがとうございます！そんな風に言っていただけるなんて嬉しいです( *´艸｀)今後ともよろしくお願いします！ (2020年7月13日 17時) (レス) id: d3f62d5375 (このIDを非表示/違反報告)
チノちゃん(プロフ) - うわぁぁぁ！神ですか!? (2020年7月13日 15時) (レス) id: 5e7e485832 (このIDを非表示/違反報告)
りん - 最高です！更新楽しみにしています！ (2020年5月29日 12時) (レス) id: 277ca17f95 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：猫のこたつ | 作成日時：2020年5月11日 14時
