雲が聴くのは月の歌 part３ (ページ5)

今日:3 hit、昨日:3 hit、合計:78,683 hit

押し付ける感情ページ5

僕はノックも無しにいきなり
入って来た彼を睨む。

　雲「・・・何のようだい。」

僕は扉の前で立ち、僕を睨みつける彼に話しかける。

彼は何故か怒っているようだった。

　獄「・・・Aに何しやがった・・・。」

　雲「・・・？」

彼は声を震わせながら先程まで居た
彼女の名前を出した。

僕は意味が分からず顔をしかめる。

彼は相当お怒りの様で、拳を強く握りしめていた。

　雲「・・・・何の事だい。」

彼はAに何をしたのか。と問いかけた。

しかし、

僕は何も知らないし、何もしていない。

そして、彼がなぜ、こんなに怒っているのかも
よく分からなかった。

僕は一方的に感情を押し付けられ苛立つ。

今、目の前に立つ獄寺隼人も、

この前の野球部、山本武も。

自分の考えや感情を他人に押し付け過ぎだ。

だから僕は群れるのが嫌なのだ。

何も理解していないくせに、自分の持論で行動し、
他人に迷惑をかけている。

　獄「とぼけんなっ！！雲雀がAを泣かせたんだろ！！」

　雲「・・・・・・・・。」

僕の返事に、彼は叫びながらそう返した。

泣かした？

僕が？彼女を？

話を聞いてもやっぱり身に覚えがない。

確かに、今日の彼女は少し様子が違って見えたが、
ずっと俯いていて表情は確認していない。

もしかしたら泣いていたのかもしれないが、
僕が原因になるような事が思い当たらない。

僕は黙って怒りに震える彼を見る。

　雲「・・・彼女がそう言ったのかい。」

　獄「！」

僕がそう言うと彼はさらに僕を睨んだ。

その時だった。