雲が聴くのは月の歌 part３ (ページ38)

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音の無い声ページ38

雲「・・・だから・・・今更隠したって無駄だよ。」

　「っ・・・・・・。」

　・・・やめて・・・

　

　そんな事・・・

　言わないで。

雲雀さんはそう言うと私の頬に手を当てる。

その手は雨に濡れていたのにとても暖かかった。

　
　「・・・・。」

　今の私に・・・

　優しくしないで・・・・。

そんな事をされて私は唇を噛み締める。

　雲「・・・声が出なくたって・・関係無い。」

　「・・・。」

　・・・やめて・・・。

　
　・・・我慢・・・できなくなっちゃう・・・。

私はさらに手を強く握る。

しかし。

　雲「言いたい事があるのなら・・・言えばいい。」

　「っ・・・・・。」

私は雲雀さんのその言葉に足の力が抜ける。

立っていられなくなった私は地面に
崩れ落ちるようにして膝を付いた。

　「っ・・・・・・。」

　・・・だから・・・

　やめてって言ったのに・・・。

私は雨が降る中、あの日のように
泣きじゃくった。

どんなに泣いても、

心の声を叫んでも、

私の口から音は出なかったけれど。

それでも、私はあの日と違って
1人じゃなかった。

　雲「・・・・・。」

私が雲を見上げて泣き続ける間、

雲雀さんはずっと泣き崩れ、地面に
座る私を見下ろしていた。

　「・・・・っ。」

雲雀さんは私の音の無い声を

ずっと聴いてくれていた。