雲が聴くのは月の歌 part３ (ページ25)

今日:2 hit、昨日:3 hit、合計:78,682 hit

気づきページ25

「・・・。」

　雲「・・・。」

僕はそんな彼女を眺めながら考える。

彼女が応接室で仕事を手伝うようになってから、
かなりの日数になるのは確かだ。

彼女はいつも仕事が終わり、やる事が無くなると、
今までと同じようにソファーで考え事を始める。

僕はそんな彼女の姿をよく見ていた。

そして僕は気が付いた。

ここ最近、考え事をしている彼女の表情が少し
違う事に。

今までも寂しそうにしていたり、苦しそうにしていたり
様々だったのだが、ここ最近は今にも泣き出して
しまいそうなそんな表情をしていた。

　雲「・・・・。」

何かあったのは確かだろう。

しかし、

僕は彼女に聞く事は無い。

彼女も話す事は無い。

僕達の関係は深く無い。

仕事を手伝ったりお茶を入れたりするけれど、
本当にそれだけで、会話は無い。

静かに、お互いが自分の時間を過ごしている。

この関係が崩れる事は無い。

　雲「・・・・。」

ただそれでも・・・

僕は気になっていた。