雲が聴くのは月の歌 part３ (ページ16)

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罪悪感ページ16

獄「A・・・ごめんな・・・。」

　「？」

私が隼人を見上げ続けていると、隼人はいきなり
立ち止まり呟くようにそう言い出した。

私も立ち止まりそんな隼人を見つめる。

隼人は・・・

何に謝っているのだろう・・・？

　獄「・・・俺・・・Aの事・・・全然考えて無かった・・・。」

　「・・・・・。」

　獄「Aを助けてやりたくて・・・その事ばかり考えて・・・Aの話・・・全然聞けて無かったんだ・・・・。」

「・・・。」

隼人はそう言うと今にも泣き出しそうな顔で私を見る。

　獄「そのせいで・・・俺・・・Aの事傷付けてたかもしれねぇ・・・。本当に・・・ごめん・・・・。」

　「！」

そう言うと隼人は私に近づき、私を抱きしめた。

私は黙って隼人に抱きしめられる。

私は抱きしめられながら考えていた。

どうして・・・急に・・・

　獄「A・・・ごめんな・・・。」

　「・・・・。」

隼人はそう言い続け、私を抱きしめる。

隼人は・・・

いつも私の事を心配してくれていた・・・。

いろいろ考えて、手を差し伸べてくれて・・・。

でも、それが私は苦しかった。

隼人は私の本心を知らない。

私に優しさを与え続ける。

私は罪悪感でいっぱいだった・・・。

隼人が手を尽くせば尽くすほど

最後に隼人は絶望する。

助けられなかったと自分を責めるだろう。

だから・・・私はできなかった・・・。

こんなに私の事を想い、手を差し伸べ、助けようと
してくれている隼人を傷つけたくなかった。

これは私の我が儘だった。