雲が聴くのは月の歌 part３ (ページ30)

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半分の赤ページ30

女「獄寺君の誘いを断るなんて、生意気なのよ！」

　パシンッ！！

　「っ！！」

辺りにそんな音が響く。

その音は私の頬を叩いた音だった。

　女「獄寺君とあなたの関係は知らないけれど、あなた。邪魔なのよ。」

　「・・・・・。」

　女「あなたのせいで、私達は獄寺君に相手にもしてもらえない！」

　ドンッ！！

　「！！」

私は彼女達に押されて後ろに転ぶ。

　女「あなたなんか転校して来なければ良かったのに！」

　女「そうよ！」

女「本当だわ！」

　「・・・。」

彼女達は叫ぶ。

　女「あなたなんか・・・いなくなればいい！！！」

　バシンッッ！！！

　「っ！！？」

様々な感情を含んだ目が私を貫く中で、
再び頬を叩かれた瞬間。

私の視界の半分が赤色に染まった。

「・・・・。」

静まり返った校舎裏から彼女たちの遠ざかる足音が
微かに響く。

灰色の雲からポツリポツリと耐えられなくなった雨が
落ちて来て、地面を濡らす。

　「・・・・・・。」

私はその場に座り込んでその雨を受け入れていた。

思い出すのは先ほどの彼女達。

私は何も言えなかった。

声が出ないからでは無い。

本当に、何も言えなかった。

　「・・・・。」

いつもの言葉も・・・・

言えなかった。