雲が聴くのは月の歌 (ページ10)

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悲しい笑顔ページ10

俺はそんな事を考えながら弁当箱を開く。
俺達はしばらく他愛も無い話をしながら弁当を食べた。

そんな時。

　山「獄寺とAはイタリアで知り合ったんだろ？どういう付き合いなんだ？」

山本がそんな質問をした。

昨日、獄寺君はそういう事は話してくれなかったから
俺も気になっていた事だ。

俺は弁当の卵焼きをつまみながら獄寺君を見る。

　獄「っ！！ばっ！バカ！山本！」

　ツ「？」

しかし、その質問に獄寺君は勢いよく立ち上がり
山本に怒る。

山本と俺は突然の事に驚きながら獄寺君を見上げたが、
その獄寺君は隣に座るAちゃんを
眉間にシワを寄せながら見下ろしていた・・・。

　ツ・山「？」

そんな獄寺君の表情を見て、俺達は今度は
Aちゃんに視線を移す・・・。

　「・・・・。」

　ツ・山「！！」

Aちゃんの表情は凄く寂しそうな、
悲しそうな表情になっていた・・・。

　獄「A、大丈夫か・・・？」

　「・・・。」

Aちゃんは黙ったままだ・・・。

獄寺君はAちゃんの隣に座り込んで顔色を伺う。
俺達はその光景を理解できないまま見つめる。

ど、どうしたんだろう・・・・？

　「・・・。」

　獄「！A！」

　ツ・山「！！」

しばらくするとAちゃんは俯いたまま立ち上がり、
屋上のドアへ向かって歩き出す。

　獄「A！あ、あまり無理するなよ・・・。」

　「・・・。」

獄寺君のその呼びかけにAちゃんは
一度だけこちらを振り向いた。

静かにこちらを見つめた後、Aちゃんは
屋上から出て行ってしまった。

　ツ「・・・。」

こちらを向いたAちゃんの表情は笑っていたけど、

その顔は今にも泣き出しそうな

悲しい笑顔だった。