紅茶 ページ45
雲雀 side
僕は机の上の書類に目を通しながら
サインを書く。
部屋にはペンの走る音と、
一定のリズムを刻む静かな寝息が聞こえる。
雲「・・・・。」
僕はペンを机に置き、紅茶を飲む。
少し冷えてしまっているが美味しい。
いつもは緑茶だけどたまには紅茶もいいなと思った。
紅茶を飲みながら視線を上げれば、
部屋のソファーで眠る転校生の姿が目に入る。
彼女は静かに寝息を立てながら眠っている。
副委員長が持ってきた紅茶を飲むと、
彼女はそのままソファーで寝てしまった。
きっと、さっきので疲れたのだろう。
寝ているその彼女の首には赤く首輪のように
痕が残ってしまっていた。
彼女は僕と話す事は無い。
僕は彼女に何があったのか聞く事は無い。
不良に言われた時も答えたけれど、
僕は彼女に興味が無い。
泣いていようが笑って居ようが
僕には関係のない事だから。
雲「・・・。」
僕は静かに席を立つと、ソファーに近づく。
彼女は変わらず静かに眠っている。
そんな彼女を見下ろす。
静かに眠るその姿はなぜか儚く、
消えてしまいそう。
そしてその顔は綺麗だった。
雲「・・・・。」
「・・・！」
しばらくすると彼女は目を覚ました。
僕は彼女を見下ろしている。
彼女は僕が見下ろしている事に気が付くと、
少し驚いた表情になった。
しかし、すぐにいつもの表情に戻ると、
僕を見上げて小さくお辞儀した。
雲「・・・・。」
「・・・・。」
僕はそのまま何も言わずに彼女を見下ろす。
彼女も何も言わずに僕を見上げている。
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作者名：猫のこたつ | 作成日時：2019年10月29日 16時
