雨と涙 ページ42
雲「僕はそこの彼女がどうなっても関係ない。興味ないね。」
男「ぐっ・・・。」
「・・・。」
彼女は僕を見つめている。
その目には涙が溜まっていた。
そろそろ危ないかもしれない。
僕はトンファーを構える。
男「クソっ！！」
「！！」
僕が動揺しないのを見てか、男は転校生から手を離し
彼女を投げ捨てるとその場から走って逃げだした。
逃げられると思っているのか。
僕はすぐにその男に後ろからトンファーを投げつける。
回転が加わったトンファーは逃げる男の頭に直撃した。
男は地面に倒れる。
本当に弱い。
こんなヤツらを相手にするのはこれっきりにしたい。
雲「・・・・。」
僕は壁にもたれ掛かり座る彼女に近づく。
「・・・。」
俯く彼女の首には赤い痕がついていた。
服も乱れ、雨でずぶ濡れになっている。
雲「・・・ねぇ。君。」
「・・・。」
僕は彼女の前にしゃがみ込むと、頬に手を当てて
顔を上に向かせた。
彼女のその頬は雨に濡れ冷たかった。
雲「・・・助けた僕にお礼の１つも無いの。」
「・・・・。」
僕がそう言うと彼女は僕を見つめる。
その顔は今にも泣き出しそう・・・
いや。
泣いていた。
よく見れば雨に混ざって彼女は涙を流していた。
その涙は助かった安堵から来ているのだろうか・・・
それとも何か他の事か。
僕が話しかけても彼女は黙ったままだ。
雲「授業をサボるからこんな目に遭うんだよ。」
「・・・。」
雲「・・・明日からはちゃんと授業に出なよ。」
「・・・。」
僕は何も言わない彼女に自分の学ランを被せる。
濡れているけど無いよりはマシだ。
僕は学ランを彼女に掛けるとそのまま
横向きに抱き上げる。
彼女はそれでも何も言わなかった・・・。
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作者名：猫のこたつ | 作成日時：2019年10月29日 16時
