遭遇 ページ40
彼女は僕が校内を見回っていると
いつも違う場所で遭遇する。
遭遇すれば僕は教室に戻るように
彼女に注意するのだ。
トンファーを構え、殺気を出す僕に
彼女は怯えない。
本当に、良い度胸だ。
本来であれば僕はどんな奴でも容赦なく咬み殺す。
しかし、僕はその転校生を咬み殺せずにいた。
雲「・・・。」
あの日の彼女の顔を思い出す。
僕が咬み殺されたいのかと問うた時の
彼女の顔は少し嘲笑うような表情だったのだ。
それは僕に向けたのか、それとも自分に
向けたのか・・・
何も話す事が無い彼女の考えなんて僕には
全く分からなかった。
雲「・・・？」
僕は校内をいつものように見回る。
しかし、どこにもあの転校生の姿は見られない。
転校生の姿もそうだが、あの三年の不良達の
姿も見当たらなかった。
あと見回っていないのは・・・。
校舎裏だ・・・。
僕は雨を気にせずに外に出る。
校舎をぐるっと回り込むと植木に囲まれた
ひっそりとした場所が見えて来る。
その時だった。
男「おいおい、こんな所でサボりかぁ？」
男「いけねぇーなー？生徒は授業受けなくちゃいけねぇーんだぜぇー？」
男「俺達は特別だけどなぁー」
雲「・・・・・。」
そんな声が聞こえる。
その声はあの不良達のものだ。
僕はゆっくりとその声の方に近づく。
男「おいおい、返事も無しかぁ？」
男「つれないなぁ。俺達サボり仲間だろ？」
「・・・。」
男達の会話を聞くに、会話の相手は返事をしない
あの転校生のようだ。
男「へへへ。こんな所で傘もささずにいるなんてどうしたんだぁ？」
男「彼氏にでもふられちゃったかぁー？」
男「はははっ。そりゃあ可哀想だ。俺達が慰めてやるよ。」
僕は校舎の陰からその男達の居る方へ出た。
男「んー？抵抗しねぇーのか。」
男「そりゃあ良い。とりあえず、金出してもらおうぜ。」
男「脱がしちまった方が楽だろ。」
その場を見れば、その転校生はずぶ濡れで
男達に両腕を取られ拘束されていた。
制服のリボンは外され、ワイシャツも少し
はだけている。
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作者名：猫のこたつ | 作成日時：2019年10月29日 16時
