雲が聴くのは月の歌 (ページ20)

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迫り来るページ20

「・・・。」

ボールを２人に返しながら
ふと隣のコートを見れば、
クラスの男子達がバレーボールの試合をしていた。

　獄「行ったぞ！！」

　山「おうっ！！」
　

隼人のそんな声に山本君が反応し、相手の
コートから来たボールを受け止め、宙に上げる。

するとすぐに隼人がフォローに入り、
宙に上がったボールを相手のコートめがけて
打ち付ける。

　スパァアンッッ！！

　ピピーッ！！

そのボールは相手のコートに勢いよく飛んでいき、
相手のガードを抜け、床に叩き付けられた。

どうやら点を決めたようだ。
笛の音が鳴り響く。

私はそんな試合に目を奪われる。

凄い・・・
隼人も山本君も凄い運動神経だ・・・

試合を見ていると、他の生徒よりもずば抜けて
センスがいいのが分かる。

そんな事を考えている途中、１人いない事に
気が付いた。

そう言えば・・・

沢田君の姿が見えず、私は辺りを見渡し彼を探す。

すると、沢田君は違うコートで試合をしていた。

　男「行ったぞツナ！！」

　ツ「えっ！！うわぁーっ！？」

　男「何やってんだよツナー！」

沢田君は・・・丁度、相手のコートから
飛んできたボールを顔面で受け止めていた。

彼は勢いよく後ろにひっくり返る。

凄く痛そうだ・・・。
彼は運動が苦手らしい・・・私と同じだ・・・。

　京「Aちゃん危ないっ！！」

　「！？」

そんな声が聞こえ、我に返る。

今、私はパスの練習中だった。

呼ばれた方を見れば、私の目の前には迫り来るボール。
私は叫ぶ事は無かったが、沢田君と同じように

ボールを顔面で受け止めた・・・・。