雲が聴くのは月の歌 (ページ14)

今日:1 hit、昨日:4 hit、合計:183,626 hit

声ページ14

確かに、先程からAと一緒に居るが、Aは話す事は無かった。

俺達の話に黙って頷くだけ・・・。

　獄「はい・・。昔はそんな事無かったんです。」

　ツ「小さい頃は声は出てたって事？」

ツナは獄寺の話に質問する。

　獄「そうなんです。幼い頃はよく喋る元気なヤツだった・・・。それに表情も今よりもっと明るかったんです・・・。」

　山「・・・。」

獄寺はその時の事を思い出しているのか、
少し遠い目になる。

　獄「ですが、今のAは声が出せません。」

　山「その原因は何か知ってんのか？」

俺は獄寺にそう質問すると、獄寺は目をつぶり
首を横に振った。

　ツ「獄寺君、知らないの？」

　獄「はい。詳しくは知らないんです・・・。」

　山「・・・・。」

獄寺はそう言うと苦しそうな表情になった。

　獄「イタリアの話、特に昔の話を思い出させるような事を聞くとああなるんです・・・。俺が一度、声が出ない理由を問い詰めた時は・・・パニックを起して・・・。」

　ツ「・・・。」

　山「・・・・。」

俺達はその話に言葉が出ない。

パニックを起こしてしまう程にAの過去には
何かがあるようだ・・・。

しかし、その過去は本人しか知らない。

声が出ず、話す事が出来ないAは1人で
その辛い過去と向き合っているのだろうか・・・。

　獄「さっきのは、まだショックは軽いみたいなんで多分大丈夫です。ただ・・・今後は気を付けてやってください・・・。」

獄寺はそう言うと少し苦しそうに流れる雲を見上げた。