鮫が手に取る蓮華草 ページ8
ザ「・・・・。」
俺は再びAを見る。
見ればAは積まれたチップをディーラーに
預けている所だった。
そろそろ休憩でもするのだろう。
ザ「・・・。」
Aは・・・
未だこの鮫の愛情に答える事は無い。
鮫の想いは一方通行だ。
ザ「・・・。」
鮫がどんなに月を見上げても、
鮫が月に届く事はない。
しかし、
月に魅了された鮫はその事に気が付かないのだ。
月が沈み、姿を消せば鮫は月を探して
広い海を探し泳ぐ。
そして月が再び姿を現した時、
鮫は幸せそうに
また、
月を想い、
月を見上げるのだ。
ス「・・・・・。」
ザ「・・・。」
カスザメを見ればヤツは客にカクテルを
作っていた。
俺はヤツを見ながら思う。
いつか、鮫の想いが月に届く日が
来るのだろうか。
それとも、
月に想いが届かない事で鮫が諦める日が
来るのか・・・。
ザ「・・・。」
もし、
鮫の想いが月に届いたとして、
鮫の愛情は本当に変わる事が無いだろうか？
「手に取るな やはり野に置け 蓮華草」
うまい事をいうヤツもいるもんだ。
手に入れてしまえば変わってしまう。
人間の心情など何がきっかけで変わってしまうか
分からない。
人間は・・・弱い。
金や富、快楽や地位など人間を惑わす出来事は
この世の中に溢れている。
自分の欲に飲まれて自分を見失えば、
簡単に人は変わってしまう。
ザ「・・・。」
もし・・・
そんな事になったら・・・
俺が奪ってやろう。
月も、
鮫も、
全てを俺のものにしてやるのだ。
それで幸せかなんてわからない。
俺がそうしたいからそうするのだ。
全てを俺の物にして、手元に置いて離さない。
それくらい強欲であり続ければ俺の心情は
変らない。
ザ「・・・・。」
俺は鮫と月の未来を想像しながら
残った酒を飲み干した。
マ「ボスっ！！！」
ス「！」
ザ「！」
その時。
喧騒の中、知ってる声が俺を呼ぶ。
見ればそこには血相を変えたマーモンが
こちらに向かって来ていた。
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猫のこたつ(プロフ) - コメントありがとうございます！まさかコメントいただけるとは思っていなかったのでとても嬉しいです！ありがとうございます！ (2019年10月27日 14時) (
レス) id: d3f62d5375 (このIDを非表示/違反報告)
まくすうぇる(プロフ) - 気になる気になる (2019年10月27日 13時) (レス) id: d72df01982 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：猫のこたつ | 作成日時：2019年10月19日 10時
