青い薔薇は生きる ページ2
僕の事務所。
最近は幻太郎と帝統がよく出入りする。
こんな頻繁に来たことはないと言ってもいいくらい、よく顔を出してくれる。
「はぁ〜〜〜〜〜〜〜………」
「乱数、どうしたのですか?飴ならば、ここに」
「なんで幻太郎が持ってんの……。別に、飴がほしいわけじゃないよ。消費も早いし、できるだけ節約しなきゃ」
「とは言え、残りの数も不安になってきていますしね……。どうしたものか」
最近は、作業机に突っ伏して、毎日ダラダラしているだけのように感じてきている。
別に、仕事してないわけじゃないけど……。
あと少ししか生きられないって思ったら、やる気が出ないだけ。
「夢がないんですねぇ。乱数は」
「もっとおもしれぇことしようぜ!ここにサイコロあるから……、ん?」
帝統がポケットをゴソゴソ漁っていたら、何か見つけたのか、無理やり引っ張り出した。
「それは……なんの雑草ですか?晩御飯なら食べさせてあげるので捨ててきてください」
「食べねぇよ!コレは、さっき賭場でもらった……青い薔薇だったものだ」
「原型をとどめていたのは三秒くらいなんじゃないですか?」
「そんな短くはねぇよ……。少なくとも……3時間は大丈夫だった、と思う」
「もって3時間ですか……」
帝統のポケットから、青い花びらがひらひらと落ちる。
鮮やかな青。深く、見ていると吸い込まれそうな、魅力的な青だった。
思わず、息を呑んだ。
「すご〜……。かっこいいね、それ。新しいデザインに入れちゃお〜」
「前に、聞いたことがあります。青い薔薇には、『不可能』という花言葉があるだとか。青い薔薇を作ることができなかったため、そのようになったのだとか」
「これもらった人からは、『奇跡』とか、『夢が叶う』とかあるって聞いたぜ。今度のバトル勝つように〜つって」
「そんな想いをねじ伏せるような保管の仕方ですけどね……」
「想いは形じゃねぇ!ここに響くかどうかだ!」
そう言って、胸をドン!と叩いた。
「いいこと言っているようで、ただの言い訳ですけど」
「ねねね!こんなの良くない?いいよね?よし、次のテーマは『薔薇』にしようかな〜」
二人のおかげで、仕事のやる気も出てきた。
今度、青い薔薇をたくさん買ってこよう。
デザインの参考にってのももちろんだけど……。
半分は願掛け。
色々不安なんだ。バトルのことも、これからのことも。
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作者名:ゆの | 作成日時:2021年4月19日 17時