その瞳に世界が"移る"時 [ハリー・ポッター] (ページ9)

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8話ヴァルブルガside ページ9

Aが倒れたと聞いた時、目の前が真っ黒になった。

Aが来てからもう10年ぐらい経つ。

最初ははとこである夫のオリオンが浮気したかと思った。だって私達は政略結婚で気持ちなんて無かったから。

貴族としては、有り得ない話じゃなかった。

だから物に当たったしAを恨んだりした。

でもオリオンからすべて聞いた。

半信半疑で赤子を抱いてみると、その子は笑ったのだ。まるで私を母親と認識したかのように。

____あぁ、この子は私達の"レギュラス"。

この子を守るため、名前はブラック家にありながら星の名前を付けなかった。

代わりにミドルネームにアークタルスと…強くあってほしいという意味でつけた。

女の子にはちょっと勇ましすぎたかしら？

Aはよく熱を出す子だった。

お医者様は幼い頃にはよくある事だと言うけど、私は心配で。

シリウスと泥だらけになって帰ってきた時には驚いて気絶してしまった。

「ひぐっ…ははうえ…ごめんねー？」

涙で顔をぐちゃぐちゃにしてあの子は言った

その日、結局Aは熱を出して一緒に寝た。

辛そうな顔で母上ごめんねと言ってるあの子

私こそこんな母親でごめんなさいと泣きそうになった。

ちなみに一緒に寝るには、オリオンが邪魔だった為、彼にはシリウスの子守を任せたわ。

飼い主に捨てられた子犬のような顔をしていたけど、とりあえず無視よ。

今考えればその頃が1番幸せだった。

夫オリオンが重役になり、仕事に精を出すようになって、シリウスが次第に反抗するようになって、Aが寂しがっているのにも気付かず、私はシリウスばかり気にして癇癪を起こす…

いよいよ家族はバラバラになった。

急いでAの部屋に行くと、あの子は苦しそうに、あの時のように顔を真っ赤にして寝ていた。

パーティの準備をしている途中だった
久しぶりに見るAの顔は年齢より少し幼く見えるが、しっかり成長していた。

よく見ると私達夫婦の特徴が揃ってる。

最近は荒れていた。
シリウスが帰ってきて大喧嘩をして。

だからこの子を構えなかった。
子供にとって親の存在は大きく影響するだろう

「……はは…うえ…ごめ…ん」

私は息を呑んだ。

「っ…！」

この子は私の子、そう私達の愛しい娘。

「私こそ、こんな母親でごめんなさい」

そう言って我が子の手を握った。

ヴァルブルガ・ブラックは感情的で癇癪持ちだ。

しかし、心優しい1人の母親でもある____。