22話 セブルスside ページ24
シリウス(紛らわしいので、不本意ながら名前を呼ぶことにする)は腕を組み、さも当然のようにこちらの様子を上から目線で見ている。
本人は気付いていないが、時折魅せるブラック家特有の王者の雰囲気が何も言わせまいとしている。
Aを見ると、彼女も状況をよく理解していないようで目をぱちくりさせている。
__シリウスが妹の危機に駆けつけて来たのか…
それともこれは質の悪いイタズラか？
様々な事が頭をよぎったがセブルスも伊達に1年間彼らとぶつかってきた訳じゃない。
普通の生徒なら恐怖で足がすくんでしまう所を冷静に達観し、いち早く反応が出来た。
"一応身内だからな。理由なんてそれでいいだろ"
そんなことも分かんないのかよ、と小馬鹿にしたように肩を竦めるシリウス。
Aは謎の生物を見るかのような、疑う眼差しで兄を見ている。
ポリジュース薬かしら…と呟いた。
疑われているではないか！
ツッコミたくなったが、ここで冷静な判断を失うのは馬鹿らしいので耐える。
小動物に例えるならいつ食われるか分からない状況なのだ。
どのように弾き飛ばされた杖を拾おうかと思考を巡らせていると、意外な人物が恐る恐る動いた。
さっきから大人しくしていたAだ。
そういえば完全に縄を解くタイミングを逃してしまった。
彼女は瞳を憎悪で染めると、芋虫を噛み締めたかのようにシリウスを睨んだ。
兄を通り越して、世界でも恨んでいるのか。
なぜかセブルスはその気持ちが痛いほどに分かった。それはセブルスが肉親に、リリー以外の世界の者に向けたのと同じ感情だと思う。
Ms.ブラック、貴女の目的は？____。
「っ…!!」
息を呑む声が聞こえた。
セブルスはソファに座ったまま、目を凝らして誰だか確かめる。
初秋に入ってから冷たい石造りのホグワーツの城は朝になると、肌寒かったりする。
セブルスは一年中ローブを羽織っているが。____Aは、薄手のカーディガンを羽織って、比較的緩い格好でスリザリン談話室の入口近くで固まっていた。
__やはり、来たか。
彼女はとても早起きだ。
お節介な先輩方に教えられたニコォと無理矢理な笑顔を作れば、ビクッと肩を鳴らす。怪訝な眼差しで見られる。
(ハッキリ言って酷く不気味だが)セブルスに悪気はない。後輩にこの前みたいな事はしないよーと示したかっただけだ。
Aは数歩ほど後ろに下がり身震いした___見てはいけないものを見たかのように…
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作者名：胃痛のアリエッティーナ | 作成日時：2017年8月8日 7時
