その瞳に世界が"移る"時 [ハリー・ポッター] (ページ20)

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18話ページ20

涼しげな顔で図書館の戸口に腕を組みながらこちらを見ているシリウス。

なぜいるのか…私はシリウスの意図が分からず困惑する。

場に妙な空気が流れる。最初に反応したのはセブルスだった。
彼は戸惑い、そして怪訝にシリウスを睨む。

「ブラック、貴様何のつもりだ。いつからスリザリンの序列のいざこざに首を突っ込むようになった。」

シリウスは怯まず軽い調子で返す。

「スニベルス、図書館では静かにするんじゃなかったのか？スリザリンのいざこざなんざ知らなねぇけど、一応は身内だからな。理由なんてそれでいいだろ。」

シリウスはやれやれと肩を竦めた。

身内？少なくともシリウスの中でまだ私は身内だったのか。今日1番のビッグニュースよ。

改めてまじまじと凝視する。これは本物のシリウスなのか？もしかしたらポリジュース薬を飲んだ例えばジェームズ・ポッターなのかもしれない。アレだったらふざけて兄妹ごっこでもしだしそう。

縛られた痛さなどとうに忘れて、警戒心丸出しでシリウスを睨む。

「んだよ」

「いえ…」

あなた、さっきマダム・ピンスに追いかけられてポッターと逃げたんじゃなくて？どうしているのよ。
目線で訴えたのに、逸らされてしまった。解せぬ。

辺りの状況を確認する。かなり不味いのではないかと冷や汗が出た。

このような状況になったのは完全に自業自得だし、なぜだか、シリウスが登場したことによってセブルスの私への警戒心がより強まった。やっぱり解せぬ。

はぁ__こんな時ばかり兄ヅラしないで頂きたい。
苛立ちが積もった。

「お兄さま、スネイプ先輩の言う通りです。私は大丈夫なので出て行ってください。」

少しばかり虚勢を張ったが、ハッキリと邪魔だと告げる。
セブルスはまさか私が自分の不利になることを言うとは思わなかったらしく、目を見開いて固まる。

シリウスはこちらを向き、同じパールグレーの瞳で私の心を見透かそうとした。

私も負けじとそれを見つめ、時間にして数秒___。

負けたのはシリウスだった。目をそらすと

「エマンシパレ(解け)」

巻きついた縄を解いてくれた。
戸口近くの机に置いてあった紙飛行機を取る。

「忘れ物を取りに来ただけだ。」

ただ、そう言い残し部屋を出て行った。

縄が解かれた衝撃とさっきの疲労で床にへたり込む。最後まで意味が分からない

「何なのだ…いったい」

セブルスが閉めずに開け放たれたドアを見て呆然と呟いたが、Aは何も答えてやれることは無かった。