その瞳に世界が"移る"時 [ハリー・ポッター] (ページ18)

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16話ページ18

さて、これからの事を考えよう。

普通の主人公ならここで颯爽と現れて止めるだろう。

が、敢えて私は何もしない。
グリフィンドールのような正義感は持ち合わせてないし、ここでセブルスを助けることによって得るものはせいぜい信頼程度だ。

A・ブラックが半純血であるセブルスを助けた。何か裏がある。と疑われるのが落ちだろう。

それに、ここに来る時に見かけた。眩しいぐらいに明るい赤髪…

「あなた達！またセブに嫌がらせをしているのね！」

あら、もう来たのね"ヒロイン"ちゃん

燃えるような赤髪。美しいエメラルドグリーンの人形のような美少女。その顔を怒りに染めても尚麗しい。大輪の薔薇。

リリー・エバンズ。

恐らく他の生徒に聞き、急いでやってきたのだろう。彼女は肩で息をしている。

想い人に虐められている所を見られて嫌なのか、セブルスは俯いた。
ジェームズは予想していたのか、鼻につく台詞を言いながら、クスクスと嘲笑う。

「嫌がらせなんて誤解だよ。ただその油っこい髪を水浴びでもさせて綺麗にしようとしたのさ。親切心だよ。あぁ、今日も君は美しいねリリー。」

それは親切心じゃないだろうとツッコミを入れたくなったが我慢。

隣にいるシリウスはチッと舌打ちをした。

「エバンス。そんな陰険野郎のどこがいい。禁断の魔法を閉じこもってずっと調べてる奴だぞ。ジェームズのバカの方がよっぽどマシだ」

バカなんて酷いっ！とジェームズがふざける。
リリーはそんな2人に構わず、セブルスの無事を確認した。

「まぁまぁ、此処は図書館なんだし、騒いだらマダム・ピンスが来ちゃうよ。どう？ピーター」

「え、えっと…ちょっと、やばい…かも…」

ピーターとリーマスに見張りをさせていたのだろう。ピーターはビクビクしながら奥の方を見る。

「あー、プロングス。俺たち確か一昨日、図書館で何かやらかしてしばらく出入り禁止になったんじゃなかったっけ？」

いったい何をしたんだ愚兄。シリウスはバツが悪そうな顔をすると扉の方を一目散に向いた。

ドンっ！！

萎びた顔を怒りに染めた図書館の司書であるマダム・イルマ・ピンスが4人目掛けて突進してきた。

やべっと誰かが声を発する。

4人は怒れる司書の姿を捉えると一目散に尻尾を巻いて逃げさり、鬼の形相でマダム・ピンスは追いかけて行った。ざまぁね

ふと、走り去る時パールグレーの瞳がキラリと光る。………気のせいだろう。