14話 ページ15
「「ごきげんよう、Aさま」」
「ごきげんよう、カミラさん、シーナさん」
うふふふ、と微笑み合う。
左から茶目、胡桃色の髪を横に結って下ろしたカミラさん。
そして、黒目、黒髪を肩より短めに切り揃えた。
少しツリ目で背の高いシーナさんだ。
カミラさんとシーナさんはホグワーツに来るとき同じコンパートメントにいた女子組だ。2人とも上流には及ばないが名のある貴族のご令嬢で、奇跡的に同じ部屋になった。ふふ、本当に奇跡かしら
「Aさま、またあのグリフィンドール生が悪戯をしてスリザリン寮近くの廊下が水浸しになったのよ！」
カミラさんがよく通る声で言った。
その隣で、ソファに座ったシーナさんが「これだから穢れた血は…」と腹を立てている。
シーナさんはその現場に居合わせて被害を被ったらしい。よく見ると髪が湿っていた。
「私もう我慢なりませんわ！！ホグワーツに来るまで色んな方のグリフィンドール生の悪行について聞かされ、卑しい出身だからと大目に見てましたが、もう限界です！！」
シーナさんが鼻息荒くグリフィンドールの悪口を言いまくる。
ふぅ、朝の紅茶って美味しいわね。今日はダージリンにしてみた。ちなみに私は砂糖は入れないでミルクをたっぷり入れる派。
私がまったりと朝の紅茶を楽しんでいると、カミラさんがシーナさんに同調した。
「純血の尊さを理解しない下衆なのよ。Aさまもそう思うでしょう？」
私は紅茶を一口飲み、口を開く。
「確かに…グリフィンドール生には近頃、目を見張るものがありますわね」
___悪戯仕掛け人、特にジェームズとシリウスが2年の先輩…セブルス・スネイプを虐めていることに関してだ。
実際、運がいいのかそれとも避けられているのか知らないが、私は現場に居合わせたことがない。
それでもセブルスをたまに遠目で見るとびしょ濡れになってたりする。
まぁ、一方的ではなくセブルスもきちんとやり返しているらしいけど…。
もう一口紅茶を飲む。
彼には色々とお世話に"なる"予定なので、仲が悪いとは言え、一応は義兄シリウスのせいで苦労していると思うと負い目がある。
計画の為には、後の魔法薬学の天才の力も必要になってくるので早々に味方につけたいのだが…
その為には絶世の美女で有名な幼馴染みのリリー・エバンスが邪魔だ。
彼は彼女しか目がないし、虐めてくる奴の妹だと言うと警戒心も強いだろう。
ため息を吐く。
本当に愚兄は私の邪魔ばかりしてくるわね…
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作者名：胃痛のアリエッティーナ | 作成日時：2017年8月8日 7時
