13話 ページ14
「その髪、瞳。ブラック家か」
被った瞬間組み分け帽子は囁いた。
「無駄話はいいわ。さっさと私をスリザリンにするのよ。」
冷たい命令口調になる。
そう、私の選択はスリザリンのみ。
不思議と騒がしい広間の音は聞こえない。聞こえるのは己の鼓動の音だけ。
あれから数分は経つ、内心の動揺を隠すようぎゅっと握りしめた手が、小刻みに震えだした。
何をやっているの…まだ…？
焦ってしまう。スリザリンに入れなければ計画は台無しだ。ブラック家にも泥を塗る。
お願いよ…スリザリン。スリザリンにして…目を閉じた。
「お主で2人目じゃのぅ」
しばらくすると
組み分け帽子はどこか寂しげな声でやっと言葉を発した。
恐らく私は何を言われたのか分からず怪訝な顔をしているだろう。
組み分け帽子は、スゥーと息を深く吸うと…
「スリザリンッ！！！」
止まってた時間が戻るかのようにざわざわと周囲の音が聞こえ始めた。
「やっぱり…ブラック家だから」コソコソ
「さすがに兄のようなことは2回もないよなー」コソコソ
「それにしては長かったな？」コソコソ
ホッと息を吐く。
一時期はどうなると思ったが、ちゃんとスリザリンに入ることが出来た。とりあえず目下の目標は達成した。
安心して力が抜ける…がそこは力を振絞り、行きと同じよう椅子から立ち、スリザリンの席へと行く。
その時、後ろから呟き声が聞こえた。
「いずれ自分自身が滅びることになるぞ」
心配を含んだ声。
歩みを止め、"それ"を真っ直ぐと見た。
___そうね。そうなるでしょうね。
「それが運命なら、受け入れましょう。」
満面の笑みで壇上から降りた。
「……」
いつの間にやら、シリウスは壇上に近づいていたようだ。
辺りが再び氷で覆われるかのよう、シンと静まり返る。
グリフィンドールのシリウス。
スリザリンの私。
真逆の道を進む兄妹。
「……」
Aは立ち止まることなく、横を通り過ぎた。
また、シリウスもそんなAを一瞥することなく、ただそこにいた。
___ブラック兄妹の学園での決別の瞬間だ。
この時、シリウスが歯を噛み締めていたことなど誰も知る由はない。
学園生活が始まる___。
✄--------------- ｷ ﾘ ﾄ ﾘ ---------------✄
気まぐれでまた主人公を描きました。
この絵の主人公は15歳ぐらいの設定です。
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作者名：胃痛のアリエッティーナ | 作成日時：2017年8月8日 7時
