無理やり合コンに連れていかれたら相手はあの有名歌い手さん達でした。【歌い手】ぱーとすりー！ (ページ42)

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#118 ページ42

夕「手錠は外してあげてもいいです。ただ、条件がありまして」

「何だ」

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夕「僕の」

夕「彼女に」

夕「なってください」

客席から、黄色い叫び声が聞こえた。

「……はあ？」

夕「姉の目的は貴方を坂田さんから離す事なので。つまり今回拐ったのもライブを失敗させて貴方を皆さんに顔向けできなくさせるため」

卑怯だな、相変わらず。

夕「で、貴方が僕の彼女になってくれれば必然的に坂田さんと貴方は離れる。合理的判断すね」

「どっかの学園長みたいなこと言ってんじゃねえよ」

夕「ま、あとは」

夕「僕が貴方のこと、気に入っちゃったんで」

「は…あ？」

夕「見かけによらず随分とウブなんですねえ？こりゃイジり甲斐がありそうだ」

そう言って、じりじりと迫ってくる花満の弟。ついに壁においやられる。

そいつのさらりとした黒髪が、私の鼻先に当たるほど近い距離。私が男子に免疫が無いのと、無駄に美形なのとが合わさって、顔が赤くなっていくのが分かる。おい、言うこと聞けよ私の体ァ！！

「む、無理。彼女とかほんとに無理」

夕「へー…可愛い顔してますね。近くで見るとますます…」

「見んなクソが！！」

とりあえずふっ飛ばす。

夕「痛くも痒くもないですよ。逆に可愛さ倍増です」

「うるせえ！！いいから離せ！」

夕「じゃあ彼女になってくださいよ」

「…」

彼女、か。

今私がこうして考えている間にも、ライブは進んでいる。彼女になることを拒否して、ライブに出れなくなってしまうのなら。

だったら。

その時、突然、

さかたんの顔が浮かんだ。

ああ。

「…ん……が………き…か」

夕「なってくれます？」

「…いいよ」

夕「……へえ。そうですか、ありがとうございます」

「だから離して」

夕「はいはい」

カチャ、と手錠が外れる。

夕「怪我してますね。包帯巻いときます」

「…ありがとう」

走れ。

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走れ走れ。

熱い息が漏れる。

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