04．毒のような優しさ ページ4
「あら、本当。とても綺麗ね」
「そろそろAにも必要になると思ってな」
私が5才の誕生日を迎えると、父から体術や剣術などを教わるようになった。
厳しい教えのおかげでそれなりに出来るようになってはいるけれど、子供の身なので使うのは殺傷力のない棒などを使っていた。
今度からはそれを卒業して本格的な修行が始まるという意味合いでこれを渡したのだろうけれど、私は貰った刀に見惚れた。
華美な装飾はないが、刃を収める鞘と手で掴む柄に蔦が這うような彫りが施されていて、小振りな鍔から伸びる刀身は反りがなくて乱れも曇りもないその真っ直ぐな美しさに思考することも忘れてしまった。
「気に入ったかい？」
父の声に夢中になって見ていた視線を上げる。
「あ、はい……とても美しいです」
「そうか、それは良かった」
「本当にいただいていいんですか？」
「Aの為に買ってきたんだ。遠慮することはない」
「ふふ、でも女の子にこんな物騒なプレゼントをする人なんていないわよね」
「うぐっ」
愉快そうに言う母の言葉に父はきまり悪そうにその身を縮こませた。
「でも、私はうれしいです。ありがとうございます、お父様」
本当に私は嬉しかったんだ。
父がどういう思いで私にこれを渡そうと思ったのか、前世で親を経験した私は痛いほどよく分かるから。変に気を使って玩具を貰うより嬉しい。
父は「そうか」と満足気に顔を綻ばせた。
「でも、やっぱり女の子なんだから少しは身嗜みにも気を遣わないとね」
そう言う母の手元にはラッピングされた小振りの箱があった。
「これは私からのプレゼント」
「……いいのですか？」
「勿論！」
父から貰った刀をテーブルの上に置いて、母からプレゼントを受け取る。こちらはさっきのとは比べ物にならないくらい軽い。なるべく破かないよう丁寧にラッピングを外して箱を開ける。
すると、そこには明るいオレンジのリボンが入っていた。
それを見て思わず母へ視線を向けると、当の本人はニコニコと笑っている。
「Aったらこんなに可愛らしいのに来ている服が全部似たようなものばかりなんですもの。こういう小物で違う色を身に着けるだけでも印象は全然違うのよ？」
母はリボンを手に取ると私の背後に回った。
「こうやって縛るだけでも……ほら、可愛い」
恐る恐る手を頭に持っていくとリボンを使ってハーフアップにされていた。
「ありがとうございます、お母様」
二人は深い愛情を湛えた表情で私を見つめていた。
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ニコ(プロフ) - 白夜（ハクグン）さん» 温かいお言葉をありがとうございます!!おかげで創作意欲が取り戻せましたw無理をしない範囲で物語を進めていきますのでお楽しみに。 (2020年11月14日 16時) (
レス) id: 531ac8166f (このIDを非表示/違反報告)
白夜（ハクグン）(プロフ) - 初コメ失礼します！騎士さんとお嬢様が大好きすぎてもう、、、すごく読んでて楽しい作品です！応援します！あ、これからも、です！最近色々問題が多いので、お体にも気をつけて、、、無理せず頑張ってください！ (2020年11月13日 12時) (レス) id: d2ad143a92 (このIDを非表示/違反報告)
ニコ(プロフ) - Ｒ_さん» ありがとうございます！そう言って下さる方がいるだけで頑張れます……！最後までニヤニヤ出来る作品を目指しますw (2020年5月18日 9時) (レス) id: 531ac8166f (このIDを非表示/違反報告)
Ｒ_ - 初コメ失礼します！！ とても面白くてニヤニヤしながら拝見させて頂いています(((変質者))) この作品大好きっす…！ 応援してます…！！ 更新、無理しない程度に頑張ってください…！ (2020年5月18日 1時) (レス) id: 882f22aeaa (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ニコ | 作成日時：2020年4月13日 23時
