107.答えるまで ページ9
慌てている私を彼が「む?」と不思議そうに見ている。
「ほ、殆ど正解なので、もういいです…」
「それでは答えがよく分からない」
杏寿郎さんの顔は真面目だった。
全く。勘が鋭い割に、こういうところ鈍かったりするので良く分からない。
「も、もう、いいじゃありませんか」
「ね?」と彼を見る。
と、ちゅっと唇を奪われた。
「!」
「ふむ。俺たちの事となると益々気になるな!」
「う…」と唸るとまた唇を奪われる。
今度は少し角度を付けて長めに口付けられた。
その行動には身に覚えがあって、はっとさせられる。
私が肇さんの御屋敷から連れて帰ってもらった日と似ている。
どうしよう…と思い始めていると、また口付けられた。
今度は角度を変えて何度も唇に食らい付いてくるような口付けだった。
「んっ、………んんっ…!」
上手く息が出来なくて、顔を逸らして逃げようとすると、いつの間にか後頭部に手が回されていて、それは叶わなかった。
苦しさから思わず口を開くと、ぬるりとした柔らかい感触が口内に押し寄せてビクッと体が跳ねる。
「っ!……ふっ!」
前にも一度体験したそれが、彼の舌だということに自分の舌を絡められて初めて気が付いた。
「んっ………やぁ!…きょ………じゅろっ、さ……んっ!」
長く口付けられて、限界の私は彼の名前を呼んで胸を叩く。
と、名残惜しそうに唇へ吸い付いた後、漸く放してくれた。
「っ、はぁっ……はぁっ……」
少し涙目になりながら息を整える。
「っ……すまない!…つい、久しぶりだからとは言え、やりすぎた………」
そう言った彼は珍しく頬が赤くて少し息が荒い。
何処か色っぽい姿に、不覚にもどきっと胸が鳴る。
「…か、加減して下さい。……私は、貴方みたいに、接吻……慣れてませんからっ………」
杏寿郎さんは慣れているみたいだけれど、私は何時まで経っても慣れない。
触れられただけでどきどきして、固まって。
頭が真っ白になって息をするのも一苦労だ。
「俺も慣れている訳ではない…」
「え…?」
顔を上げると「心外だな」とでも言いたそうな表情をしていた。
「言っただろう?Aが初恋だと」
「あ…」
そう言えば彼はそんな事を言っていた。
思い出すと恥ずかしくて、しゅぅぅぅと頭から湯気が出そうだ。
じっと見つめられて「だから、ここに痕を見付けた時は腹が立ったし、悔しかったんだ」と、私の首筋と鎖骨をなぞる。
「っ!」
擽ったい感覚に肩を竦める。
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月見(プロフ) - 莉子さん» 可愛らしく書けていてよかったです!作者も早く二人には祝言あげて欲しくてうずうずしています!でもきっとあともう少しです(^^) (2021年3月10日 21時) (レス) id: 3e917b4f85 (このIDを非表示/違反報告)
莉子(プロフ) - 夢主ちゃん可愛いですね( ´ ▽ ` )早く祝言あげて欲しいですね。。。 (2021年3月10日 20時) (レス) id: da7568f49d (このIDを非表示/違反報告)
月見(プロフ) - 莉子さん» ありがとうございます!夢主ちゃんには甘い煉獄さんを書いてみたら、自然と優しくなりました(*^^*) (2021年3月1日 12時) (レス) id: 3e917b4f85 (このIDを非表示/違反報告)
莉子(プロフ) - 煉獄さん優しい。。( ; ; )月見様の煉獄さん大好きです。 (2021年3月1日 12時) (レス) id: da7568f49d (このIDを非表示/違反報告)
月見(プロフ) - 莉子さん» コメントありがとうございます!プロポーズのシーンは悩みながら書いたので、そう言って貰えて嬉しいです!夢主ちゃん、少しずつ成長してます(^^) (2021年2月26日 12時) (レス) id: 3e917b4f85 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:月見 | 作成日時:2021年2月4日 23時