114.二人で ページ16
「次に君の寝顔を見るのは夫婦になるまでお預けになりそうだな！」
「え…？」
夫婦になるまでお預け………
つまり、夫婦になったら同じ部屋で寝ると今から宣言されていることになる。
でもたぶん、その言葉の意味は“ただ一緒に眠る”という意味だけではないと思うと、私は何も言い返せなかった。
とはいえ、夫婦になれば自然なことだろう。
「…………。」
「毎朝、毎晩、君の寝顔を見られるようになる日が待ち遠しいな！」
私の気も知らずに杏寿郎さんが嬉しそうに言う。
それにしても………
「………毎日私より後に寝て、私より先に起きるつもりですか？」
「あぁ！」
「私も杏寿郎さんの寝顔が見たいので、早起きは負けませんよ？」
にこっと笑う。
「む。それは、俺も負けていられないな！」
何故か早起き勝負が始まりそうな展開が可笑しくて、私は声を上げて笑った。
「A……」
「何ですか？」
名前を呼ばれて聞けば、彼が切ない表情で話し始める。
「こんな状況になって、君には不安な思いばかりさせてすまないと思っている」
「いいんですよ。……杏寿郎さんのせいじゃ、ありませんから」
「だが、お陰で気付いたことがある」
「…？」
良く分からなくて首を傾げると彼が続ける。
「こうやってAと出掛けるのはとても楽しい。それなのに、煉獄家に君を連れてきてから一度も出掛けていない！」
言われてみれば…と思い返す。
こちらに来てから杏寿郎さんと出掛けたことはないし、私は買い出しや散歩以外では外へあまり出ていない。
「だから今度、非番の日に一緒に出掛けよう！」
「え？」
それは、つまり世の中で言うところの逢い引きということ？
頭の中で考えていると、ふっと優しく微笑まれる。
「折角、婚約者になったんだ！いつも家のことばかりやってもらってばかりだったしな！たまには恋仲らしいことがあってもいいだろう？」
「っ！……いいんですか？」
「勿論だ！」
私は忘れかけていた。
杏寿郎さんは鬼狩りをしていて忙しい人だから、恋仲になっても普通の恋人たちとは違って、一緒にどこかへ出掛けるなんてことは難しいのだと。
知らず知らずの内に諦めていた。
「嬉しい………！」
少し涙目になると、「そんなに喜んでもらえるとは」と言って彼が指で拭ってくれる。
「何処に行きたいか、Aも考えておいてくれ！」
「はい！」
浮き足だった気持ちで歩いていると、いつの間にか目的地に着いていた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 245人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「鬼滅の刃」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
月見(プロフ) - 莉子さん» 可愛らしく書けていてよかったです！作者も早く二人には祝言あげて欲しくてうずうずしています！でもきっとあともう少しです(^^) (2021年3月10日 21時) (
レス) id: 3e917b4f85 (このIDを非表示/違反報告)
莉子(プロフ) - 夢主ちゃん可愛いですね( ´ ▽ ` )早く祝言あげて欲しいですね。。。 (2021年3月10日 20時) (レス) id: da7568f49d (このIDを非表示/違反報告)
月見(プロフ) - 莉子さん» ありがとうございます！夢主ちゃんには甘い煉獄さんを書いてみたら、自然と優しくなりました(*^^*) (2021年3月1日 12時) (レス) id: 3e917b4f85 (このIDを非表示/違反報告)
莉子(プロフ) - 煉獄さん優しい。。（ ; ; ）月見様の煉獄さん大好きです。 (2021年3月1日 12時) (レス) id: da7568f49d (このIDを非表示/違反報告)
月見(プロフ) - 莉子さん» コメントありがとうございます！プロポーズのシーンは悩みながら書いたので、そう言って貰えて嬉しいです！夢主ちゃん、少しずつ成長してます(^^) (2021年2月26日 12時) (レス) id: 3e917b4f85 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：月見 | 作成日時：2021年2月4日 23時
