松田さんと黒の少女

修学旅行 ページ28

私は今、修学旅行で京都に来ている。

班は雪見、結架、美琴ちゃんと同じで、今は京都を観光している。

雪見が前の世界のことを覚えているのかはわからないけど、

覚えていたらかなりテンション上がってるだろうな。

雪見の好きなコナンの映画に京都が出て来てたし。

わたしはちらっと雪見を見る。楽しそうなその表情からは何も読み取れない。

うーん。まあ楽しそうだしいいか。

「ねえ、あそこに着物のレンタル屋さんがあるから、みんなで着てみない？」

わたしがそう言うと、他の3人も楽しそうに頷いた。

「学生4人です。」とわたしがお店の人に言うと、

「まあ、可愛いお嬢さんたちやねえ。修学旅行？」と聞かれた。

「はい。そうです。」と美琴ちゃんが元気に言う。

「京都はええとこやさかい、楽しんだってな。」

お店の人はニコニコして言って、お店の中に案内してくれた。

わたしたちは衣装選びをする。美琴ちゃんと結架はすぐに決まったが、

わたしと雪見は優柔不断で選ぶのに少し時間がかかってしまった。

結局わたしは、赤地にいろんな色の紅葉があしらわれた着物にし、お店の人にメイクをしてもらう。

「…恋の悩み事、あるんやないですか？」と唐突に聞かれて、わたしは驚いた。

そんなわたしを見て、お店の人は穏やかに笑うと、真剣な顔になる。

「後悔せんようにし。あんたはまだ若いさかい、いろんなことに挑戦してみるんや。」

後悔しないようにか。わたしは…

「はい。頑張ります。ありがとうございました。」笑ってそう言った。

もうこんなことはやめよう。ちゃんと自覚しなきゃな。

自分の本当の気持ちに…。

「お待たせー。ごめん時間がかかっちゃって。」

わたしは3人のところに行った。

「わあ。朱莉可愛い。すごい似合ってるね。」と結架が言う。

「えへへ。ありがとう。」とわたしは照れながら言った。

結架は桃色の地に、白い桜があしらわれている着物で、とても似合っている。

横で動きにくそうにしている美琴ちゃんは、

若葉色の地にいろんな花があしらわれている着物だ。

そして、美琴ちゃんの横で穏やかな微笑を浮かべている雪見は、

紺色の地に鶴や蝶があしらわれている着物で、凛とした佇まいだ。

「じゃあ行こうか。」と美琴ちゃんが言い、わたしたちは京都の街を歩き出した。

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