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花火の打ち上げが終わって、
各自で桐山先輩のところに手持ち花火を取りに行く。
そのときも、
私の手としげおかの手は繋がったままで。
私たちの繋がった手を見た桐山先輩は、
ぎょっとした顔をしてたけど、
すぐ素知らぬ顔で花火を手渡してくれた。
先輩の優しさに感謝しつつ、
2人で人気のないところに行って、
花火に火をつけた。
しゅうしゅうと火花が散り、消えて行く。
「、綺麗やな」
「うん」
「...あ、や、うん」
「え?なに?どうしたの??」
「な...んでもない」
「なんかあるでしょ」
「...ん、いや、Aの顔綺麗やなって」
思わず顔を覆った。
花火と負けず劣らず、顔が赤くなるのがわかる。
ついこの間まで私の言葉に返事もしなかったくせに。
ドキドキしてる自分が、なんか、悔しい。
そして最後に残った、二本の線香花火。
「なぁ、対決しようや」
「え、なんの?」
「火の玉、最後まで残ったほうが勝ち」
「負けたら、勝った方のお願い聞く」
「ええ?」
いつも通り笑顔はきらきらで、
花火より眩しいくらい。
「いくで!」
「いいよ」
同時に火をつける。
火花が散り終わって、火の玉がぼうっと浮かび上がった。
向かいの真剣な顔のしげおかを見つめていたら、
いつの間にか私の火の玉は落ちていて。
「あ、落ちた!」
やったやった、とはしゃぎ回るしげおか。
「お願い。なにがいい?」
はしゃぎ回っていたしげおかが、急に真剣な顔になった。
「なあ」
「キスしても、ええ?」
冗談かと思ったのに、しげおかは真剣な顔で、
その瞳に、すいこまれそうだ、
「いいよ、」
「しげおかなら」
向かいに立っていたしげおかが、だんだん近づいてくる。
ぎこちないけど優しい手が、
私を抱き寄せた。
顔が間近まで近づく。
このままいくかな、と思って目を瞑ったのに、
待てども待てどもその感触はやってこない。
うっすらと目を開けると、
ワルい笑みを浮かべたしげおかは、
「キス顔やな」
なんていって、
そのまま、唇が触れた。
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抹茶ラテ(プロフ) - もうほんっと甘酸っぱすぎでキュンキュン通り越してギュンッギュンしました!!こんな素敵な作品をありがとうございました! (2019年8月14日 0時) (レス) id: f561c365ea (このIDを非表示/違反報告)
アップルパイ - 不器用だけど、とっても優しい重岡くんにキュンキュンしました!これからもfight! (2019年3月25日 14時) (レス) id: 21ade4ea86 (このIDを非表示/違反報告)
れんこ - 感動して目頭が熱くなりました、、 (2018年4月10日 21時) (レス) id: 3120da164d (このIDを非表示/違反報告)
TTR(プロフ) - とても面白かったです!感動しました!これからも頑張ってください! (2018年3月4日 12時) (レス) id: 7ecb9e6c11 (このIDを非表示/違反報告)
りんか(プロフ) - すっっごい感動しました! 涙が止まりません笑 楽しませていただき、ありがとうございました♪ (2018年2月16日 16時) (レス) id: a0bd5d5d2f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ましろ | 作成日時:2016年12月15日 16時