天使なの、お姫サマ。 ページ8
ー今日のAチャンはあきらかにおかしい。
俺は腕組みをしながら考える。
鼻歌を歌いながらいつものようにキッチンで料理をしているAチャンが、花のように可愛いのはいつものことだ。
しかし、身にまとっているものがおかしい。
「…Aチャン、そのエプロンは…。」
俺がおずおずと尋ねると、きょとん、とした顔で平然と、もらったプレゼントだよ、と答えてくる。
ーいや、それは分かってるんだけど…。
そのエプロンは、俺が通販で購入した、薄桃と白のレースやらリボンやらでまみれたものだった。
Aチャンが着ている姿をみたかったものの、もちろん、許可がおりるはずもなく、俺はおふざけを反省し、倉庫にしまわれた、はずだった。
料理が完成し、運んできてくれるAチャンに声をかける。
「な、なんで着てくれたの？」
Aチャンはお箸を用意しながら、首をこてっと曲げた。
ーか、かわいい、なんだあれ、天使か？
そのふわふわなAチャンは俺の予想通りめちゃくちゃ可愛いくて、今すぐ抱きしめてキスしたいレベルだ。
色んな衝動を抑えて、食事をおえて、いったん寝室へ逃げ込んで、自分をセーブすることにした。
ーなんか今日はAチャンが俺の願望を叶えているような…。
ーいつもは恥ずかしいといってしてくれない格好も食べ物アーンもこなす、なんだかとっても煽情的だ。
「あーっかわいいよAーっ」
俺がベッドでばたばたと悶えていると、Aちゃんがお風呂からあがったようだった。
俺はよし、と気合いを入れて、起き上がったその時だった。
ーキイィ、という音とともに現れたのは。
「…えっ？Aチャン？な、え、う、あ、え？」
ー俺のパーカーを着て彼シャツ状態のAチャンだった。
慌てふためいて赤面する俺を気にもせず、Aチャンはるんるんと俺のベッドへのってくる。
ーおいおいまてまて俺もうキャパオーバー！
俺の脳内ではよからぬ妄想がうかぶ。
「Aチャン！？薄桃色のパ、ごほっ、み、見えちゃうよ！？履きな！？下！」
それでも構わず四つん這いになって俺に迫るAチャンに、俺は一周回って攻められている。
Aチャンが、俺に完全に覆いかぶさる形になり、こつ、とおでこ同士をぶつけた所で、はっと正気にかえると、にこりと笑ってつぶやいた。
ー理想の、Aチャンだよ、リクエストに忠実！
ー俺は顔を真っ赤にしながら慌てふためくしかなかった。
「…て、天使？」
今日のおはようは？
「…おはよ、お前、猫みたいに寝るんだな」
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作者名：沢井 | 作成日時：2018年1月2日 15時
