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甘えん坊の意地っ張り ページ21




「違うもん!!」


楽屋に響いた大きな声にびっくりしてみんなが声の方に振り返る。


「康二、違うじゃないでしょ?」

「ちがうもん…」


うるうると瞳を揺らめかせながら、大声の犯人康二は目黒に頭を撫でられている。


「照、どったのあれ」

「分かんねぇわw」


まるで子供とお兄ちゃん?

膝を抱えてうずくまる康二の傍でそっとしゃがんで康二の頭を撫でながら何かを聞き出そうとする目黒。


「目黒、どした?」

「あー岩本くん。なんか康二熱を持ってる気がして…」

「風邪?」

「分かんないんすよね…」


康二は多分涙を堪えきれなくなってもう泣いちゃってると思うんだけど、目黒の言い方的に見逃せない熱さなんだろう

しんどいのは康二だし


「目黒、康二抱っこしてとりあえずソファ運んで」

「ふっか、タオルケットある?」

「ん?あるよー」


目黒がそっと抱っこしていいか聞くと首を縦にコクりと動かした。

首に抱きついた手はしっかりと目黒を求めてて、多分甘えん坊のこうちゃん状態。

ソファに下ろそうとすると腕に力が入って下ろされたくないって行動するから目黒は困りながらもソファに座って膝の上に康二を乗せた。


「俺たち、医務室行ってくるね」

「え、涼太ひとり?俺行くわ」


ゆり組が医務室に行くことが決まり、残りの人でスタッフさんに時間を調整してもらったり、マネさんに伝えに行ったり、飲み物買いに行ったりと動きだした。

俺とふっかはとりあえず目黒と康二の様子を見つつって感じで2人の会話を見てる。


「康二」

「うんん!」

「なに?どうしたの?」

「やーなの!」

「なにが?」

「んー!!」


いやだと抵抗しながら目黒に抱きつく康二。

こうちゃん状態だとほとんど子供がえりで会話なんて成立しない。

こっち側が汲み取るしかない訳だ。


「こうちゃん?」

「なに?」

「んふふ、こうちゃんって呼んで欲しかったの?」

「ふふ、そーやでー?こーちゃな?よんでほしかった。」


頬が赤くなり始めててありゃあ本格的に熱上がってんなぁってふっかと話す。

二人の世界だからあんまり口出ししたくねぇしな


「こうちゃんはどっか痛い痛い無い?」

「んーとなー、んー、わからん!」

「分かんないかぁ。」

「めーめとぎゅーしてたらええもん!」


そう言って再びぎゅっと抱きつき、目黒の胸元に顔を埋める。

今日1日はあんな感じかなぁ


あれで付き合ってねぇんだから俺たちは見守るだけ

◈→←◈



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作者名:暁紫 | 作成日時:2021年9月21日 20時

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