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あれから撮影は薬で熱を下げてやったんだけど、メンバー撮影は割とスムーズに終わり、個人撮影で事件は起きた。
｢こーちゃ、めーめとおりたい｣
｢でも、みんな困ってるでしょ？｣
俺が撮影に行こうと康二を離れると泣きそうになりながら追いかけてくる。
熱が上がってきたのかフラフラとした足取りで危なかったしくついつい支えてしまって康二に弱い力で抱きつかれる。
｢こうちゃん、俺は今からお仕事なの、すこーしだけ待ってて？｣
｢いやや、むりやもん｣
｢大丈夫、すぐだから、ね？｣
｢いーや！ｯ｣
泣いちゃって可愛そうになって頭を撫でながら抱きしめる。
｢めめ、俺が康二抱っこしながら撮影見ちゃダメ？｣
｢え、あべちゃんはいいの？｣
｢うん、大丈夫だよ｣
｢じゃあ、お願いします｣
そんな俺たちを見てたあべちゃんが代案を出してくれて、それに乗っかって再チャレンジ
｢こうちゃん、あべちゃんにぎゅーしながら見ててもいいよ｣
｢あべちゃ？｣
｢そう、あべちゃん。それならずっと近くにいれるね？｣
｢んふふ、あべちゃ、ぎゅーする！｣
｢よし！こうちゃん！おいでー｣
康二の顔がへにゃっと笑ってあべちゃんに抱きつきに行く。
そのままあべちゃんは康二を軽々と抱っこしてじゃあ、行こうかなんて言うもんだから、なんだかお母さんに見えた。
｢お待たせしてしまいすみません！｣
スタッフさんに謝れば、スタッフさんは今の康二のこととか理解してくれてるから全然気にしないでーなんて言ってくれた。
撮影する場所には隙間なく3つの椅子が座ぶとんと毛布を置いた状態で並べられていて多分康二がここに来ることも分かっていたようだった。
何から何までありがたい
そんないい人に囲まれた康二はニコニコとこっちを見ていて、目が合ったらやわやわっと手を振る。
もう意地っ張りはどこかへ飛んでいって甘えん坊のこうちゃんだけが残ったみたい。
どんな康二でも俺は好きだけどね
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作者名：暁紫 | 作成日時：2021年9月21日 20時
