unhappy end10 ページ18
それは、女性の声音だった。
「子供の成長はあっという間ね。私の嫌いな言葉の1つよ。
そっちの人は最初から行方知れず。こちらで手に入れたのは論文だけ。
あなたもせいぜい、捕まらないように気を付けて。
私とジンはこれでもあなたに人間違えで父親を奪って申し訳なかったって思ってるのよ。ほんの少しね。
だから、あなたの名前は見て見ぬふりをしていたの。
でもね、〇〇は、そんなこと知らないから気を付けて――」
Bye と投げキッスを置いて去っていく。
「姿だけ」赤井さんのその人が、私には死神にしか見えなくて、身体が震える――。
記憶が唐突にフラッシュバックした。
あの日、誕生日だった私は父の帰りが待ちきれず、探しに行った。
父は家にほど近いところで、血を流して倒れていた。
『お父さん――、お父さん?』
私が駆け寄ったから、立ち去ろうとしていた人たちが立ち止まったのだ。
『おい、あいつに子どもなんて居たか?』
『あら、人間違いね。よく似てるわ。弟を探しに行かなきゃ』
――やだ、だめ、どうしよう、とめなきゃ――
私は、自分がアスファルトの上に倒れこんだことに気が付くことはなかった。
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作者名:まつり | 作成日時:2022年6月16日 15時