227グラム ページ38
「――あの日、どうしてFBIは公安の情報が組織に盗まれるかもしれない――という情報を得たんだ？」
零がそう切り出したのは、美味しい夕食を食べ終わり、お風呂から上がった後だった。
部屋を暗くして、クリスマスツリーの明りに見惚れている私の隣に座った零が、やや思いつめた口調だったのは、後ろめたいと思っているせいかもしれない。
「偶然公安の前で昼寝していたってのは、ダメ？ いつも零のこと気にかけているのよ」
「残念ながら、僕のことをきにかけてくれるような男なら、人がせっかく夕食を準備している最中に出かけることはない」
「そっかな。こうして私たちに二人きりの時間をプレゼントしてくれた、ただの良い人かもよ？」
零の膝に座り、身体を横に向けて零の首に手を回してもたれかかる。
「君にとっては、間違いなくアイツはただの良い人だ――」
安心していいよと零が笑って私の頭を撫で、髪の毛を指で梳いた。
気持ちよさに目を細める。
「シュウにもそう言ってあげればいいのに」
「アイツを図に乗らせて何か僕にメリットが？」
「零だって、自分が居ない時に私の面倒見てもらえているから、安心しているでしょ？」
「まあ、確かにそれは唯一のメリットだな」
「何があっても今夜私を一人にしないと約束してくれるなら、教えてあげても良いけど？それから、犯人探しはしないで」
柔らかい空気に、つい口が滑った。
「Aのことは一人にしないよ。――犯人探しについては内容次第だ。約束はしかねる」
そういう真面目なところが、彼を苦しめている一因なんだろう。
私は、自分のデータが勝手に使われたこと、それを突き止めようと試行錯誤している途中に、公安内部が起こしていた件について報告した。
徐々に零の顔が険しくなっていく。
「ほら、眉間にしわ」
私はそっと零の眉間に指で触れる。
「零のこと、悩ませたくなかったの。もちろん、合同捜査なんてしてなければ、いくら腹が立っても、公安の情報を簡単にFBIに漏らしたりはしなかったわよ？」
「分かってる」なんて言っているけど、零の顔はもう、間違いなく仕事モードになっている。
ほんっと、真面目なんだから。
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まつり(プロフ) - 彩香さん» ありがとうございます！あれもこれも書きたくてなかなか完結しないのですが、のんびり読んでいただけると嬉しいです。 (12月11日 21時) (
レス) id: 91a8359b9e (このIDを非表示/違反報告)
彩香(プロフ) - いつも楽しく拝見させていただいています！大変だと思いますがご自身のペースで続けて欲しいです！まつりさんの作るシーリーズ大好きです！！これからも頑張って下さい！応援しております。 (12月11日 18時) (レス) @page1 id: 933da0752b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：まつり
| 作成日時：2023年6月15日 16時
