Backstage5 ページ5
「今日は寝てないんですね」
車を止めて私を見ると、残念そうに昴さんがそう言った。
そんなに車は知らせてないし。それに、まだ20時くらいじゃないかな。
「そんなにいつも眠ってる?」
「そういう印象です。どこかにドライブに行きますか?」
「いいよ、昴さんだって疲れているよね? お昼はお仕事大変って言ってたじゃない? そういえば無事に解決した?」
「ええ、Aさんのおかげで」
返答に満足してぴょんと車から降りる私を見て、昴さんはため息をつくとふわりととても感じの良い笑みを見せた。
「Aさんを抱えてあがるの、好きなんです」
――臆面もなく前触れもなく、日常会話のついでみたいにそういうことを突然言い出すの、ほんっとどうかと思う。
そうして何のためらいもなくひょいと私を抱き上げた。
「や……。ちょっと? 私歩ける――」
「暴れるな、落ちたらどうする」
――って、急に秀一の声に戻して耳元でささやくのは反則。もう、めっちゃ反則。
真っ赤になっておとなしくなった私の頬に優しいキスが降ってきた。
「――そういうの、ほんっとずるい。秀一のいじわる……」
「そう? 機械の不具合では? Aがスイッチに触れた?」
絶対に嘘なのに。あまりにも平然と、むしろ楽しそうにそう言われると、うまく反論できないじゃない。
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作者名:まつり | 作成日時:2022年5月25日 13時