Backstage4 ページ4
2人を見送った私は、蘭さんの電話番号のメモをもらって鞄にしまう――。
その時、鞄の後ろポケットに小さな封筒が入れられていることに初めて気が付いた。スマホが入るサイズではないので、確認を怠っていたのだ。
「どうかしました?」
深刻な顔で黙り込んだ私を、昴さんが覗き込む。
「ねぇ、これって――」
昴さんは適当な場所に車を止め、私の手から封筒を受け取った。
真っ白な封筒には、あの怪盗キッドのマークが書いてある。
「SDメモリカードが一枚。そして、『あなたの秘密を全てお返しします』ですか――」
昴さんは小さなカードを抜きだすと、小さなノートパソコンを後ろから出してきて差し込んだ。
キッドファンなら誰でも歓声を上げて喜びそうな、キッドマークが描かれた、いかにも高級そうな厚みのある封筒とメッセージカードは、ためらうこともなくライターで火をつけ、灰皿に棄ててしまった。
「盗聴器でもGPSでもなさそうです」
――盗聴器かGPSの可能性なんてミリも抱いてなかったので目を丸くする。
昴さん、発想が物騒すぎない――?
「これ、私がもらってもいいですか?」
「どうぞ。でも、こんなのいつ誰が入れたんだろう――」
「美術館の人混みでで誰かにぶつかっていましたよね?」
そういわれてみると誰かにぶつかったような気もするけれど、自信が持てなかった。
「でも、その時キッド飛んでたよ?」
いくらマジシャンでもあの高さで私に手紙を渡すなんて無理なのでは。
それより、本当にその時昴さん、私の近くにいたのかしら。とはいえ、いまさら聞いても本当のことは教えてくれない気がする。
「そういえば昴さん、どうして拳銃なんて持ってるのー?」
割と重たい話だと思うんだけど、私の質問に昴さんは何もないような顔で笑う。
「驚きましたよね?
あれ、ただの
ただただ耳に心地よい声で、流れるように返答がきたので、私はそれ以上何も聞けなくなってしまう。
128人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「名探偵コナン」関連の作品
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:まつり | 作成日時:2022年5月25日 13時